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社説

米韓軍事演習と北朝鮮 過剰な反応は有害無益だ

 いつもながら物騒な発言である。

     おととい始まった米韓合同軍事演習に対し、北朝鮮側は「危険な軍事挑発」だと反発し「無慈悲な報復と懲罰を免れないだろう」と主張した。

     単なる脅しともとれるが、北朝鮮が米領グアム周辺へミサイルを発射する計画を温めている折、軽々には見過ごせない発言である。

     だが、明確にしておきたい。緊張を高めているのは北朝鮮なのである。米韓演習は定例で、北朝鮮の核・ミサイル攻撃を想定した指揮態勢のシミュレーションに過ぎない。

     しかも米兵の参加者は昨年の2万5000人規模から今回は約1万7500人に減っている。

     米側は兵員削減に特段の意味はないとしているが、中国やロシアが米韓演習に懸念を示していることもあり、北朝鮮をことさら刺激しないための米国の配慮とも解釈できる。

     演習には北朝鮮の政権中枢への攻撃を想定した「作戦計画5015」も含まれるとはいえ、北朝鮮の声明は明らかに過剰反応である。

     それよりも北朝鮮は、日本の上空を通ってグアムの方向へミサイルを撃つ構想自体、国際常識に反していることを自覚すべきだ。

     北朝鮮の意図はどうあれ、そのミサイルがグアムに直接的な被害を与えないとは限らない。ひとつ間違えば日本の領土・領海にミサイル本体や残骸が降ることもあり得よう。

     一般論で言えば、そうした事態は軍事攻撃とみなされ反撃の対象になってもおかしくない。

     米国との対話を望むなら北朝鮮はまず、グアム方面へのミサイル発射計画を撤回すべきである。米国民を軍事的に威嚇しても主戦論を高めて逆効果になるだけだろう。

     お得意の「瀬戸際戦術」で北朝鮮が軍鼓を打ち鳴らすのはもはや限界と知るべきだ。

     一方、米国では首席戦略官だったバノン氏らトランプ大統領の側近が次々に政権を去り、外交・防衛を担う国務省、国防総省の幹部ポストの空席も目立っている。

     北朝鮮問題で戦略を描き切れず実務にも不安がある。それが米国の実情だろう。ここは落ち着いて考えたい。米国は日本や韓国、中露と連携を強め、北朝鮮との直接間接の対話を模索してもいいはずだ。

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