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社説

米政権のアフガン新戦略 安定への道筋が見えない

 「米国史上最長の戦争」が一つの転機を迎えた。トランプ大統領が国民向けの演説で、治安の悪化が止まらないアフガニスタンに関する「新戦略」を打ち出したのだ。

     米兵増派を軸とする「新戦略」は特に画期的ではない。だが、アフガン撤退が持論だったトランプ氏が方向転換し、期限を切らずに勝利を目指すと言明した意味は小さくない。

     米軍のアフガン攻撃は2001年9月の米同時多発テロの翌月から始まった。同時テロの実行組織アルカイダと、これを擁護するタリバン政権に対する戦いである。

     当時の米ブッシュ政権は03年に大義なきイラク戦争も始めて批判を浴びたが、アフガン攻撃については国連も正当性を認めている。

     だが、米軍がタリバン政権を倒し、親米の新政権ができてもアフガンの治安は悪化した。大英帝国もソ連も苦しんだ「イスラムの大海」で、米国も泥沼にはまり込んだのだ。

     トランプ氏の「新戦略」は厳しい現状への応急処置であり、米国の体面を保つ苦肉の策でもあろう。

     アフガンでは既に2400人の米兵が死亡した。トランプ氏は演説で「甚大な犠牲」に見合う結果を出さねばならないと説く一方、オバマ前政権の「拙速で誤ったイラク撤退」が「力の空白」を生み、過激派組織「イスラム国」(IS)などの台頭につながったとの認識を示した。

     オバマ政権評はともかく、アフガン周辺に途方もない脅威が存在するというトランプ氏の危機感は理解できる。問題は、同氏が「勝利」を目指すと言ってもアフガン安定への道筋が全く見えてこないことだ。

     アフガンに接するパキスタンにはテロ対策で緊密な協力を求め、インドには主に財政支援を期待する。北大西洋条約機構(NATO)の加盟国や同盟国にも人的・財政支援を求める。トランプ氏はそうも語った。

     だが、NATO加盟国は、既に解散した国際治安支援部隊(ISAF)の中核を担い、アフガンで多くの犠牲者を出した。近隣国の対米支援にも、おのずと限界があろう。

     軍事偏重では明るい展望が開けそうもない。事態を打開するには、米国がタリバン穏健派との接触も含めて平和的な工作に力を入れることが重要である。

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