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社説

核廃絶の高校生演説見送り 外務省はだれを守るのか

 スイスで開かれている国連のジュネーブ軍縮会議で、恒例だった日本の「高校生平和大使」による本会議での演説が、今年は見送られた。

     演説は3年前から始まったが、特例的な演説を問題視する国があり、今年は実施に必要な全会一致の賛同を得られなかったという。

     政府間交渉の場である軍縮会議での民間人の演説は確かに異例だ。それが定例となったのは、唯一の被爆国である日本の高校生が被爆者の声を伝え、核廃絶を訴える意義を各国が認め合っていたからだろう。

     その貴重な機会が奪われた。とても残念だ。

     高校生大使は全国の高校生が核廃絶の署名を集め国連に届ける活動だ。今年は20年目で過去最多の21万4300筆の署名が集まった。

     2014年には日本政府代表団の一員に登録することで演説が実現し、昨年まで続けられた。

     異議を唱えた国を政府は明らかにしていない。被爆国の立場を強調することに反発する近隣国もあれば、核廃絶をけん制する友好国もある。

     問題は演説を続けられるよう日本がどれだけ外交努力を払ったかだ。

     政府は軍縮大使主催のレセプションで発言の場を設けたが、社交的な場でもあり、公式の本会議での演説とは発信力も異なる。

     本会議では北朝鮮の核・ミサイル開発を巡り米国と北朝鮮が非難し合い、核問題が大きな論点になった。

     そういうときこそ、核廃絶や世界平和を願う若者たちの訴えに耳を傾けるべきではなかったか。

     7月には核兵器禁止条約が国連で採択された。日本は交渉に参加せず、条約への署名もしない方針だ。

     外務省は政府の条約反対の立場と演説見送りは無関係だと言う。

     だが、条約を歓迎する高校生たちが政府見解と異なる意見を表明しないかと憂慮したのではないか、という見方もある。

     疑念をきっぱり否定するなら、来年以降、本会議での演説を復活できるよう尽力してほしい。

     悲惨な歴史を受け継ぎ、世界に発信する若者の活動がなくては、被爆国の経験は歴史に埋もれてしまう。

     政府が優先すべきは、一部の異論に折れるのではなく、若き語り部の活動を守り、後押しすることだ。

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