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社説

公営住宅への石綿使用 実態把握と説明を早急に

 アスベスト(石綿)の公営住宅への使用実態が新たに判明してきた。

     民間団体「中皮腫・アスベスト疾患・患者と家族の会」の調査によると少なくとも32都道府県、約2万2000戸に用いられていた。

     その多くは除去工事などの対策が取られている。しかし、それまで居住者は石綿にさらされる環境にいた恐れがある。国と自治体は使用実態の把握を急ぎ、不安解消に努める必要がある。

     石綿は「静かな時限爆弾」と呼ばれる。吸い込むと数十年という潜伏期間を経て、肺がんや中皮腫、石綿肺などを発症する恐れがある。

     これまで明らかになった石綿被害の多くは石綿工場の従業員や周辺住民だ。今回の調査結果は一般住宅にも被害が広がりかねないことを示している。調査に協力した東京工業大教授の試算によると約23万人が石綿を吸い込んだ可能性がある。

     不安を広げないためにも、急がれるのは自治体などによる適切で迅速な情報公開だ。

     国土交通省は住宅の名称や対策の有無を公表するよう都道府県に要請した。自治体は住民への周知に努めてほしい。石綿被害の特性から過去の居住者に情報を伝え、健康への影響を確認することも検討すべきだ。

     機械メーカー、クボタの旧工場で多数の健康被害が発覚して12年がたつ。救済法が制定され、石綿による肺がんや中皮腫の患者、遺族は労災の適用外でも支援対象となった。

     神奈川県営住宅で幼少期から約20年間過ごした50代女性は中皮腫と診断され昨年、救済認定を受けた。天井に吹き付けられた石綿を吸引した可能性がある。

     しかし、普通に生活していて石綿被害に遭うと気づくのは難しい。相談体制を整備し、石綿に関する情報提供をする。行政のこうした対応が被害救済の一歩となるはずだ。

     民間建物でも石綿の使用実態は十分把握されていない。1989年以前に建てられた1000平方メートル未満の小規模民間建築物は約130万棟あり、推計では2・3万~3万棟で除去や封じ込めが必要という。

     高度成長期に大量輸入された石綿は多くの建物に使われ、解体工事がピークを迎える。国や自治体は被害を拡大させない対応が求められる。

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