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LGBTを生きる

性的少数者 第3部/5 ゲイカップル・立崎聖也さん(28)と稲垣晃平さん(25) /埼玉

挙式で仲間に勇気与え 二人で社会や制度変革へ声

 昨年10月、さいたま市の結婚式場で一組のカップルが結婚式を挙げた。二人そろって純白のタキシードを着た立崎聖也さん(28)と稲垣晃平さん(25)にとって、新たな人生のスタートだった。

     この式場ではこれまで数組のLGBTのカップルが挙式をしたが、いずれも参列者はいなかったという。だが、二人の式には両家の家族ら約30人が出席した。「永遠の愛を誓い、これほどうれしいことはない。心温まる家庭を築きます」。2人の言葉に続き、指輪の交換、そしてキス……。祝福の声が式場にこだました。

     披露宴には会社の同僚や学生時代の友人のほか、ゲイ(男性同性愛者)仲間なども顔を見せた。両家の母親は「一生仲良くしてくれることが、親にとって最高の幸せ」と口をそろえた。

     立崎さんたちにとって、うれしいことがあった。「結婚は夢の出来事」と思っていたゲイの仲間たちが「勇気をもらえた」と涙を流して喜んでくれたことだ。「自分たちが幸せになることで、みんなに頑張ろうと思ってもらえる。その気持ちを裏切りたくない」。二人は誓いを新たにした。

       ◇  ◇

     稲垣さんは、生まれつき血管の難病で右ほお付近に大きなあざがあり、小学生ころからいじめを受けた。中学と高校時代に受けた2度の手術で病を克服した。同じ頃、自身の性自認(心の性)に悩んでいた。女の子も男の子も好きになり、一時は「バイセクシュアル(両性愛者)」ではないかと思った。悩みを抱えたまま迎えた高校3年のある日、姉が「みんなわかっているから、話した方が楽じゃない」と意外な言葉を口にした。

     高校卒業後は職を転々とし、5年前に介護職に就いた。間もなく職場でカミングアウトした。びっくりされたが、同僚たちは受け入れてくれた。

     一方の立崎さん。中学・高校生時代は女の子を好きにならない自分に気付き「ゲイかな」と思った。だが、言ってはいけないことと心にしまい込んだ。大学入学後、交友関係が広がるにつれゲイの仲間が周囲にいることを知った。自身の性自認について「仕方がないこと」と受け入れてきた。結婚式を前に母にカミングアウトすると、戸惑いながらも受け止め、応援してくれた。

       ◇  ◇

     二人は先月、結婚の証しとして「パートナーシップ契約公正証書」を作成した。入院時や社会保険、財産分与などさまざまな社会制度がLGBTの壁になっているため、各項目で具体的に解決策などを記した。

     立崎さんは今年1月、メールでさいたま市長宛てに「わたしの提案」を投稿した。東京都渋谷区などで、結婚に相当する関係と認めた同性カップルに証明書を発行する同性パートナーシップ条例が広がりつつある現状を指摘し、「政令市として制度の早期導入」を求めた。

     すぐに「性的少数者の人権についても課題の一つ」などと書かれた返事が来たものの、具体的な回答はなかった。二人は今後、少しずつ社会や制度変革への声を上げていきたいと思っている。【鴇沢哲雄】=つづく

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