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社説

列島越えた北朝鮮ミサイル 日本主導で5カ国協議を

 北朝鮮がきのう弾道ミサイル1発を発射し、北海道・襟裳岬上空を通過して太平洋上に落下した。

     日本政府は全国瞬時警報システム(Jアラート)を12道県に配信し注意を呼び掛けた。新幹線など対象地域の鉄道が一時運行を見合わせた。

     鳴り響く警報に不安を覚え、通勤に不自由した人も多いだろう。失敗すれば被害が出た恐れもある。

     ミサイルが日本上空を通過するのは5回目だ。1998年の初回を除き人工衛星発射と主張して事前通告していたのとは異なり、今回は通告なしの発射である。飛行機や船舶が巻き込まれてもおかしくなかった。

     しかも、北朝鮮が米領グアム周辺を標的とするミサイル発射計画で挑発するさなかである。

     安倍晋三首相は「これまでにない深刻かつ重大な脅威だ」と非難した。断じて許すことはできない。

    過小評価が危機高めた

     北朝鮮は核実験の準備を進めているという報道もある。昨年は9月9日の建国記念日に合わせて5回目の核実験に踏み切っている。

     国際社会の警告を無視してミサイル発射を続け、核実験に固執する北朝鮮にどう向き合えばいいのか。

     東西冷戦下で国際社会から孤立化した北朝鮮は、朝鮮戦争で戦った米国から主権の維持と体制の保証を確保したいとみられる。

     北朝鮮の93年の核拡散防止条約(NPT)脱退表明で緊張が高まり、94年には北朝鮮の核開発凍結と軽水炉供与を柱とする米朝枠組み合意に達して危機は遠のいたかにみえた。

     ところが、2002年に凍結した核施設を再稼働させ、高濃縮ウランによる核兵器製造計画も明らかになり、03年にNPT脱退を宣言した。

     日米韓中露と北朝鮮による6カ国協議で核計画放棄とエネルギー支援で合意したものの、06年に核実験を強行して以降、核実験と弾道ミサイル発射を繰り返している。

     緊張をつくり、対話に引き込み、支援を得た後、再び緊張をつくる。20年以上、米国は北朝鮮の体制が崩壊すると過小評価し、北朝鮮の手法に踊らされてきたのは事実だ。

     北朝鮮は大陸間弾道ミサイル(ICBM)の発射に成功し、核兵器の弾頭搭載が可能になったという。

     この教訓からトランプ米政権は従来の対北朝鮮政策を「失敗」と位置づけ、歴代政権が慎重に避けてきた軍事的選択肢をちらつかせている。

     しかし、朝鮮半島有事になれば、最も被害が大きい韓国では100万人以上の犠牲者が出ると予測され、在韓米軍にも被害が出る。北東アジア全体が戦禍に包まれる。

     戦争による解決はあり得ないし、あってはならない。そうである以上、北朝鮮とは外交的な解決しか選択肢はない。

    外交的な解決しかない

     米国は中国の圧力行使を要請している。一方、中国は米朝協議が必要だとし、北朝鮮も米国だけを交渉相手とみなしている。

     米国内には決着を急ぐために北朝鮮の核保有を認め、軍縮協議を始めるという意見もある。最終的に米朝協議が不可欠としても、北朝鮮の現状を容認することは日本としては受け入れられない。

     ここはまずは北朝鮮問題に利害を持つこの地域の関係国が協議すべきではないか。

     すでにある6カ国協議の枠組みを利用し、北朝鮮を除く日米韓中露の5カ国が北朝鮮の核開発をやめさせる方策を意見調整することだ。

     中国としても北朝鮮の核保有は認められないし、隣国で戦争が起きることを許さないはずだ。ロシアも北東アジアの安全保障環境に無関心ではいられない。

     脅威の高まりに直面している日本がそれを主導すべきだ。

     日米の連携は重要だが、中国は石油禁輸を含む徹底的な経済制裁に踏み切って北朝鮮の体制が崩壊するリスクを懸念している。

     米国はティラーソン国務長官らが北朝鮮の体制転換などを意図せず対話による外交路線を推進している。

     米中の共通項を見いだしながら軍事的選択肢を遠ざけ、外交路線を推進することはできよう。

     そのうえで米朝が実務的な協議を行う。朝鮮戦争の休戦協定を平和協定に格上げするプロセスを進め、中露を含めて北東アジア全体の安全保障を構想することもできるはずだ。

     もちろん簡単な道のりではない。だが、日本は外交資源を集中させ、忍耐強く取り組むべきだ。

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