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社説

NHKの「ネット受信料」 将来像の議論が必要だ

 ネット時代の公共放送のあり方を議論するのが先ではないか。

     NHK会長の諮問機関が、テレビ番組を放送と同時にネットで流す場合の受信料について答申を出した。テレビを持たず、常時同時配信のみを利用する世帯に現行受信料と同じ程度の新たな費用負担を求めることが柱になっている。

     受信料の支払率は8割近くに向上する一方、若者のテレビ離れが進んでいる。新たな視聴者を獲得しようと、NHKは2019年の同時配信実施を目指している。

     英国や韓国では、既に同時配信が行われている。放送と通信の垣根は低くなっており、視聴者に役立つなら大方の納得が得られるだろう。

     しかし、同時配信の将来像を示す前に料金の話が先行するのには異論がある。総務省は、同時配信を認める条件として、需要を示し、業務を見直すことなどを挙げている。

     NHKが、上田良一会長のもとでコスト意識を徹底し、視聴者の信頼を得ているとはまだ言えない。

     子会社13社の利益剰余金は15年度末で948億円に上り、会計検査院から配当や契約方法の適正化を求められた。前会長時代にたびたび指摘された「政治との距離」を疑わせる報道姿勢も一掃されていない。

     放送法は、全国に豊かで良い放送番組を提供することをNHKの目的とする。同時配信や新たな費用負担の導入には、法改正が必要だ。

     社会環境の変化に合わせ、多様な視聴手段をそろえるにしても、放送が根幹でなければならない。

     さらに、NHKが同時配信に本格的に乗り出した場合に懸念されるのは、民放などとの競合である。

     配信設備には膨大なコストがかかり、民放は収益の確保が見込めていない。特に、規模が小さな地方局は経営が苦しくなる恐れがある。

     日本の放送界は、NHKと民放の「二元体制」を維持してきた。それが崩れたら、言論の多様性は失われかねない。同時配信には、そうした観点からの議論も求められる。

     上田会長は、「ネット受信料」などについての考えをまとめる意向を示している。NHKがネット活用を含めた「公共メディア」を目指すなら、受信料値下げを含めた身を切る改革から始めてほしい。

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