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余録

何であろうとお金で表せる…

 何であろうとお金で表せる--そう証明しようとした米社会学者の研究がある。種類の違うさまざまな不快、苦痛にいくらもらえれば耐えられるかを若者らにたずねたのだ▲かなり前の時代の値段だが、「前歯を引き抜かせる」が4500ドル、「片足の小指を切除する」が5万7000ドル、「15センチの生きたミミズを食べる」が10万ドル、「町から遠いカンザス州の農場で残りの人生を過ごす」が30万ドルだった▲M・サンデル教授の「これからの『正義』の話をしよう」(早川書房)に紹介された「研究」だが、教授はこの値づけのばからしさを示すために引用したのである。しかし最近も値段のないものはないといわんばかりの話をよく聞く▲ネットで自由に物を売買するフリーマーケットアプリにコンピューターウイルスの入手方法を出品していた中学生が警察から児童相談所に通告された。代価をポイントで受け取っていた中学生は「小遣いがほしかった」と話している▲紙幣が額面以上の値で取引されたり、夏休みの自由研究が販売されたりして物議をかもしたネットのフリーマーケットである。何であれ需要と供給とが出合えば値は生まれるが、法やモラルはあわてて後を追いかけているありさまだ▲冒頭の調査で回答者の3分の1は「いくらもらおうとそんな体験はいやだ」と答えた。「研究」は結局、お金で表せないほどいやなことがあることを証明した。法はもちろんお金で表せぬモラルへの目配りも欠かせない今後のフリマの成熟だ。

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