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余録

「われわれの究極の目的は…

 「われわれの究極の目的は帰る家や希望のない人々が存在しない世界、自由で平和に暮らせる真の聖域のある世界を作ることです」。今はミャンマーの事実上の国家指導者であるアウンサンスーチー氏の言葉だ▲これはノーベル平和賞受賞の21年後、軍政の軟禁が解かれた後に行われたオスロでの記念講演の一節である。そのスーチー氏が今、国際社会の批判を浴びているのは少数派イスラム教徒「ロヒンギャ」迫害の責任を問われてのことだ▲西部ラカイン州のロヒンギャは、ミャンマーでは不法移民扱いされ、今までも差別と迫害を受けてきた。先月には過激派武装勢力の蜂起(ほうき)があり、政府軍の報復や迫害を逃れようと多数の難民が隣国のバングラデシュに押し寄せたのだ▲国連によれば難民は31万人以上にのぼり、人権高等弁務官は「民族浄化の典型例」と当局による民衆への組織的攻撃を非難した。スーチー氏はかねて「民族浄化は誇大表現」と反論、難民大量流出にも迫害は偽ニュースだと譲らない▲そんなスーチー氏にマララさんやツツ元大主教らノーベル平和賞の受賞者からも批判の声が上がった。民主化運動を導いた美しい理想も、いざ軍の実力や国民の間に根強い反ロヒンギャ感情と渡り合う現実政治においては無力なのか▲国連安保理はきょうロヒンギャの人道危機で緊急会合を開く。なるほど美しい理想が常に良い結果をもたらすとは限らない現実政治だが、悲惨な結果の責任はすべて指導者に帰すのを忘れてはいけない。

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