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社説

自民党が改憲論議を再開 「日程ありき」に逆戻りか

 自民党が8月の内閣改造を挟んで中断していた憲法改正の党内論議を再開した。改造に際して安倍晋三首相は「スケジュールありきではない」と柔軟な姿勢を見せていたが、来年の通常国会での発議を目指すスケジュールはあくまで変えないようだ。

     加計学園問題などで「安倍1強」の強権姿勢が批判を浴び、東京都議選で自民党が惨敗した反省から、首相主導で強引に進めようとしていた改憲論議は党に委ねたはずだ。

     政権運営の姿勢を「謙虚に、丁寧に」へと改めた象徴が改憲スケジュールの軌道修正ではなかったか。

     ところがここへ来て「スケジュールありき」に逆戻りした感がある。

     きのうの自民党憲法改正推進本部の会合では、9条1項(戦争放棄)と2項(戦力不保持)を変えずに自衛隊を明記する首相提案について議論し、トリプル衆院補選(10月22日投開票予定)後に具体的な条文案の検討に入ることを決めた。

     同本部の特別顧問に就いた高村正彦副総裁は、臨時国会で自民党案を「たたき台」として各党に提示し、通常国会で正式な改正原案を提出して発議を目指す考えを示している。

     だが、7月の都議選以降、政治状況は一変している。政権運営における発言力を高めた公明党は、改憲の動きにブレーキをかけ始めた。

     来年末までに次期衆院選がある。衆参両院で改憲勢力が3分の2を占めているうちに、という焦りも自民党には感じられる。だが、公明党の協力なしに発議など見通せない。

     それでも自民党が当初の日程にこだわるのは、都議選後の反省や謙虚な姿勢が薄らいでいるからではないか。北朝鮮をめぐる情勢の緊張や民進党の党勢低迷もあり、内閣支持率が持ち直してきたことで、またぞろおごりが頭をもたげてきたようだ。

     気になるのは、自衛隊明記の改憲を実現したうえで9条2項を削除する「2段階論」が自民党内にあることだ。船田元・本部長代行が「2段階論を深めるのが首相の考えだ。我々の考えにも近く、その方向で進めたい」と語ったのは看過できない。

     「衣の下のよろい」が見える9条論議を拙速に進めるべきではない。謙虚な姿勢を示すのなら、国会の憲法審査会で与野党の合意点を探る本来の憲法論議に戻るのが筋だ。

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