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社説

東京電力の原発再稼働 決意表明だけで「適格」か

 原子力規制委員会が柏崎刈羽原発6、7号機(新潟県)の安全審査を巡り、東京電力に原発を運転する適格性があると条件付きで認めた。

     技術的な審査はほぼ終わっており、近く新規制基準に適合したことを示す審査書案も公表する。

     だが、審査経過を見ると、適格性があるとの判断は根拠が薄弱で、説得力を欠くと言わざるを得ない。

     規制委が踏み込んだ適格性の審査は、新規制基準に明確な規定がない異例の措置だった。「福島第1原発事故を起こした東電と他の電力会社とは違う」(田中俊一委員長)との判断からで、東電に追加的な高い対応を求めたことは理解できる。

     規制委は今年7月、小早川智明社長ら新経営陣を呼んだ。田中委員長は「福島の廃炉をやりきる覚悟と実績を示すことができなければ原発を運転する資格はない」と迫り、福島第1原発の汚染水対策などに主体的に取り組むよう求めた。

     これに対し東電は先月、社長名で規制委に文書を提出した。「主体的に関係者に向き合い、廃炉をやり遂げる」「福島の廃炉と柏崎刈羽の安全性向上を両立する」。東電の決意は書かれていたが、具体的な汚染水対策などは示されないままだった。

     ところが田中委員長らは、これをあっさり受け入れた。事業者が順守義務を負う原発の保安規定に、決意表明の内容を書き込ませることで、実効性を確保するという。

     しかし、廃炉や安全対策に取り組む姿勢を評価する明確な基準はない。主観的な決意を保安規定に書き込んだとしても、事業者の姿勢をどれだけ縛れるのか、疑問がある。

     そもそも今回の審査では、事故対応の拠点となる免震重要棟の耐震性不足を規制委に報告していなかったことが発覚するなど、東電の適格性を疑わせる事態が相次いでいた。

     新潟県の米山隆一知事は福島第1原発事故の検証を優先する方針を示しており、審査に合格しても柏崎刈羽原発の再稼働は見通せない状況にある。にもかかわらず、規制委は結論をなぜ急ぐのだろうか。

     田中委員長は今月で退任する。退任直前の駆け込み容認と取られても仕方がなかろう。このままでは、原子力規制行政に対する、国民の信頼感は低下するばかりだ。

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