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福岡・糸島市教委

LGBT教育の指導手引書、作成へ

 福岡県糸島市教育委員会が、性的少数者(LGBTなど)への理解を深める教育の実施に向け、小中学校の教員に配布する手引書の作成に取り組んでいる。学年ごとに授業の進め方や注意点を具体的に例示する予定で、市教委によると、全国的に珍しいという。今年度内に完成させ、2019年度には市内の全23校でLGBTに関しての授業の時間を導入する方針だ。

     「LGBTという言葉は聞くけれど、実際のところよく分からないという教員もいる」「日ごろの生活で気を付けることも記載した方がいいのではないか」。今月4日、糸島市内に手引の作成を進める教員や市教委の担当者ら6人が集まり、意見を交わした。

     市教委によると、これまで市内の小中学校各1校でLGBTの当事者を講演に呼ぶなどの授業をしたところ、実施校の児童・生徒には他者を思いやる気持ちが芽生えるなど変化がみられたという。人権課題としてLGBTを教えるべきだという教員の意識は高まる一方、具体的な指導方法が示されておらず、市教委が手引作成を企画した。

     16、17年度に授業をした前原南小では、1年生には自分たちが好きなものを考えてもらい、例えば男の子が「ぬいぐるみ」などと言っても否定しないように教えた。一方、5年生には学校生活などでどんな不安や悩みを抱えているかを児童らに考えてもらう中で、教員側から自分の性への違和感で悩むケースもあると示し、LGBTを具体的に教える内容を試みた。

     この実践例を参考にしながら、手引では学年ごとの授業の進め方を掲載することにした。今後、月1回程度のペースで教員らは集まって議論を重ね、具体的な記載事項を検討することにしている。

     LGBTの学校生活を巡っては、宝塚大看護学部の日高庸晴教授(社会疫学)のアンケート調査(回答者約1万5000人)で、性的少数者の58%が小中高校時代にいじめられた経験が「ある」との回答が得られている。市教委は手引を活用した授業の導入で、いじめを防ぐ狙いもある。

     検討に参加する市教委の担当者は「LGBTに関する差別発言などはこれまで報告がないが、悩みを抱えている子供がいる可能性はある。授業外の時間を含めて教員が適切な指導ができる手引にしたい」と話している。【遠山和宏】

    教員も、具体的な指導方法を学ぶ必要を

     文部科学省は2015年、性的少数者の児童・生徒へのきめ細かな対応を求める通知を全国の教育委員会に出しており、教育現場の意識も高まっている。専門家はこの機をとらえ、具体的な指導方法を教員が学ぶ必要性を訴えている。

     埼玉大の渡辺大輔准教授(セクシュアリティー教育)によると、適切な教育がされなければ、当事者は自己否定をしがちで、差別やいじめも防げないとみる。近年、教員が性的少数者に関する研修を受けたり、当事者を授業に呼んで話をしてもらったりするなどの取り組みは全国で増えているが、授業をするにあたっての統一的な手引がない自治体もある。

     渡辺准教授は、学年による注意点を記した手引を作る糸島市の取り組みについて「児童・生徒の発達に応じて学習を積み上げることは評価できる」と話した。そのうえで「私たちの性が多様で平等であるという観点で教え、学校や社会の問題を考えていくべきだ。手引を適切に活用するためにも、国は教員自身が学ぶ時間を十分に確保する必要がある」と語った。【遠山和宏】

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