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社説

年金支給漏れ598億円 いつまで失態を繰り返す

 またも年金の信頼を失墜させる不祥事である。元公務員の妻らの基礎年金に一定額を上乗せする「振り替え加算」の事務処理ミスによって10万人以上に計598億円の支給漏れがあったことが明らかになった。

     一度に判明した支給漏れとしては過去最大。その多くは日本年金機構になってからのものだ。徹底した原因究明と再発防止策が必要だ。

     「振り替え加算」は夫が厚生年金や共済年金に20年以上加入している専業主婦らを対象に、1991年に導入された。

     支給漏れは1人当たり平均56万円、最も多い人は590万円という。ほとんどは公務員の妻で、受給できずに亡くなった人は約4000人に上る。

     会社員が加入する厚生年金と公務員らの共済年金は2015年に統合され、現在は日本年金機構が管理や運営に当たっている。ところが、共済年金の加入記録は統合後も財務省などが所管の各共済組合が管理している。情報の共有や連携の不十分さが機構側の事務処理ミスを引き起こす原因になったという。

     ただ、統合前から「振り替え加算」の事務処理ミスはあった。その後もミスは相次いだが、日本年金機構は場当たり的な対処で済ませてきた。同機構のずさんな体質が問題を大きくしたと言わざるを得ない。

     旧社会保険庁時代に、手書きの台帳を電子データ化する際の記入漏れや台帳の消失などによって「消えた年金」問題は起きた。その反省から同庁は解体され、10年に日本年金機構は発足したのにである。

     今回判明したミスは14年度以降に急増している。厚生・共済年金の統合のほか、年金の支給開始年齢の60歳から65歳への段階的な引き上げなど制度改革に伴う複雑な作業が影響したとの見方もある。

     「消えた年金」の後処理、年金未納者への徴収強化にも追われていた時期だ。同機構の過重な仕事量や人員不足は度々指摘されてきた。現場のミスとして済ませるだけでなく、縦割り組織の弊害を含め、構造的な問題についても検証すべきだ。

     少子高齢化に伴い、今後は受給者に厳しい年金改革が迫られることになる。国民の信頼なくしてはどんな改革もできない。

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