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余録

あれほど日本中が目を凝らして見つめた飛行機の…

 あれほど日本中が目を凝らして見つめた飛行機のタラップはなかっただろう。2002年10月15日、北朝鮮の拉致被害者を乗せた飛行機が羽田空港に降り立った。その中に、横田めぐみさんや有本恵子さんの姿はなかった▲この時めぐみさんの母早紀江さんは有本さんの母嘉代子さんに声をかけたという。「娘さん、飛行機から出てきたらいいのにね」。嘉代子さんは「ほんまやね」と寂しげにうなずいた。早紀江さんは嘉代子さんの肩を抱き、2人で泣いた▲拉致被害者の一部の帰国がかなったのは当時の小泉純一郎首相が北朝鮮を電撃訪問し、金正日総書記と日朝平壌宣言に署名したからだ。その15周年をあすに控える中で、北朝鮮がきのうまたも北海道上空を通過するミサイルを発射した。核・ミサイル・拉致問題を包括的に解決し、国交正常化を実現するという宣言の内容が、今にしてあまりにむなしい▲拉致被害者の一人で、帰国して来月で15年になる曽我ひとみさんは10年ぶりに記者会見し、ミサイル発射や核実験への怒りをあらわにした。そのうえで「国民の拉致問題への関心が薄れている」と述べ、焦りを募らせた▲朝鮮半島情勢の緊迫で米軍の軍事行動の可能性まで取りざたされる。最も心を痛めているのは拉致被害者の家族ではないか▲皇后陛下にこの歌がある。拉致被害者を思わずにいられない。<帰り来るを立ちて待てるに季(とき)のなく岸とふ文字を歳時記に見ず>。片時も忘れることなく、岸に立って帰りを待つ人がいる。

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