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社説

京都への文化庁移転 地の利生かした新機軸を

 文化庁の京都移転が具体的に動き出している。

     国と京都府、京都市は、2021年度までに京都府警本部に本庁舎を設置し、長官と次長を常駐させることで合意した。現在の職員の約7割に当たる250人以上を配置する。

     国機関の地方移転は「地方創生」の一環だが、官庁の抵抗で全面移転が決まったのは文化庁のみだ。他の省庁移転のモデルケースとなる。

     国宝の約5割、重要文化財の約4割が関西にある。伝統文化が蓄積した京都は文化財を生かした国際的な観光拠点でもある。

     外国人観光客も急増し、京都迎賓館や京都御所は通年での一般公開を始めている。「千年の都」という地の利を生かして、日本文化の海外への発信力を強めてもらいたい。

     移転にあたって大事なのは、京都に移る本庁と、一部の機能を残す東京の庁舎とのすみ分けをはっきりさせることだ。

     文化庁の業務は文化財保護だけではない。音楽、美術、映画、アニメといった芸術振興のほか、宗教法人の認証、著作権保護など幅広い。国会対応や外国との連絡などの機能は東京に残さざるをえない。

     芸術文化団体の活動には首都圏を中心としたものが多い。それだけに、東京から離れると意思疎通を図るのが難しくなる懸念がある。文化の海外発信を担う外務、経済産業省や観光庁との緊密な連携が欠かせない。

     移転を機会に、これまでになかった新機軸を示す必要がある。

     京都は、神社仏閣のほか茶道や華道の家元があり宗教の本山も多い。地元には日本文化の中心にふさわしいという自負もあるだろう。

     だからといって、京都や関西に目を向けた取り組みに偏重し過ぎても困る。全国のさまざまな「地方」を従来以上に意識すべきだ。

     各地には独自の文化が根付いている。画一的な活性化策でなく、多様性を生かす視点が文化行政には肝要だ。そうした点こそ、東京から移転するにあたり強調すべきだろう。

     すでに一部機能は京都に先行移転し、文化財や芸術を生かした地域振興策に取り組む市町村を支援する事業を始めている。全国に目配りし、きめ細かく対応できる組織を整備してほしい。

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