メインメニューをとばして、このページの本文エリアへ

社説

米欧の中央銀行と日銀 日本だけが泥沼化の危険

 米国の中央銀行である連邦準備制度理事会(FRB)が、金融危機対応の政策を正常化させる作業の総仕上げに着手する。大規模な量的緩和に伴い膨張した保有資産を、来月から段階的に削減すると発表した。

     ユーロ加盟国の金融政策を担う欧州中央銀行(ECB)も、来月には量的緩和からの脱却に向け動き出す模様だ。イングランド銀行も近く利上げに踏み切ると見られている。

     世界経済が安定した成長を続けている証しだろう。

     ところが日銀は、正常化の展望が全くひらけない。景気拡大が戦後2番目に長かった「いざなぎ景気」を超えようとしているのに、である。

     黒田東彦総裁は、物価上昇率が目標の2%を大幅に下回っているためだと説明する。だが、もともと非現実的との指摘が多い目標だ。2%超えの状態が安定的に続くようになるまで、量的緩和を続けるというが、それでは今の異常な金融政策がさらに何年も続くことになる。

     FRBは物価上昇率の予想が目標に達していないにもかかわらず正常化を急いだ。後手に回ると、後々急激な政策変更を強いられ、経済を混乱させる恐れがあるからだ。

     日銀は1年前に異次元緩和策を点検し、新たに長期金利を0%近辺に誘導する政策を採用した。その後は政策変更をしていないが、弊害は深刻化する一方である。

     日銀が国債を大量に購入し、国債の利払い費が抑制されているお陰で政府は安心して借金をする。株式市場では、日銀が投資信託を通じて株を買う結果、価格形成をゆがめたり、企業経営へのチェック機能を働きにくくしたりしている。

     金融政策を正常化する道のりは長い。米国の場合、当時のFRB議長が初めて具体的に示唆してからここまで来るのに4年以上を要した。

     しかも経済規模に対する中央銀行の保有資産残高で日本は群を抜いている。相当な地ならしをしたとしても、市場への影響は計り知れない。大混乱への懸念から、やめるにやめられない泥沼化の危険が潜む。

     黒田総裁は昨日の記者会見でも、2%の物価上昇目標を「変えることも放棄することも適切でない」と断言した。かたくなな態度が招く結果を心配せずにはいられない。

    コメント

    投稿について

    読者の皆さんと議論を深める記事です。たくさんの自由で率直なご意見をお待ちしています。

    ※ 本コメント機能はFacebook Ireland Limitedによって提供されており、この機能によって生じた損害に対して毎日新聞社は一切の責任を負いません。また、投稿は利用規約に同意したものとみなします。

    利用規約

    毎日新聞のアカウント

    話題の記事

    アクセスランキング

    毎時01分更新

    1. キスマイ宮田俊哉 風間俊介の兄役で「やすらぎの刻~道」出演 短髪姿にメンバーは「アリだね!」
    2. 大相撲 稀勢の里「悔しい。今場所は申し訳ない」
    3. 論プラス 元徴用工めぐる判決 日韓に刺さったとげ=論説委員・大貫智子
    4. 秋田 記者が通報、北朝鮮の木造船 船内捜索も見守る
    5. 陸自 砲弾、一般車被害 国道そばに着弾 滋賀の演習場 目標1キロずれ

    編集部のオススメ記事

    のマークについて

    毎日新聞社は、東京2020大会のオフィシャルパートナーです