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社説

メルケル独首相が政権維持 楽観許さぬ4期目の行方

 ドイツ総選挙でメルケル首相率いる中道右派、キリスト教民主・社会同盟が、議席を減らし苦戦しながら第1会派を維持した。首相の4選は確実となった。

     メルケル氏は過去12年、国際協調路線を取ってきた。再選は欧州と世界にとって安心材料となろう。

     昨年以来、英国は欧州連合(EU)離脱へと走り、米国ではトランプ政権が誕生し、「自国第一主義」で世界秩序に無責任な風潮が目立った。

     そうした中、メルケル氏は自由と民主主義、人権の価値観を重んじ、国際的な存在感を高めた。在任中、ウクライナ紛争やギリシャ財政危機、欧州に押し寄せる難民問題などで穏健な調整役として尽力した姿勢もそうだ。

     ドイツが余裕ある対外姿勢を持続できた一因に、国内の好調な経済がある。欧州他国に比べ失業率は低く、格差はさほど目立たなかった。それが政権を安定させた。

     ところが今回の選挙はドイツにも「自国第一」が芽生えていることを示した。新興右派政党「ドイツのための選択肢」(AfD)が国政初の議席を獲得し、第3会派に躍進した。

     同党は反難民、反イスラムを掲げ、「イスラム教は自由で民主的な価値観に反する」とまで言い切る。

     2013年の結党時は反EU・ユーロを掲げる経済政党だった。それが15年にメルケル政権が中東などから大勢の難民を受け入れ、続いて難民らによる集団暴行事件が起きたことで、排外的な姿勢に傾いた。

     ドイツはナチスへの反省から極右的な政治活動に対し規制が厳しかった。だが同党は、反難民の声に加え、裕福でない者の既成政党に対する不満をもすくい上げた。

     メルケル氏のリベラル化路線に対する保守層の反発もある。メルケル氏は政権維持を得る一方、内憂を抱える誤算となった。

     フランスでは5月に親EUのマクロン大統領が誕生し、独仏連携によるEUの立て直しが始まったばかりだ。しかしマクロン氏は国内の構造改革が反発を受け、支持率は急落している。メルケル氏頼みのEU強化ではおぼつかないだろう。

     欧州の安定と国際協調の持続へ向け、メルケル氏の4期目は多難となるかもしれない。

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