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社説

日中の国交正常化45年 「第5の文書」を目指す時

 1972年9月29日に日中共同声明が調印され、国交が正常化されてから45年になる。経済関係や人的交流は当時から大きく拡大したが、政治的関係は不安定化している。

     中国の軍事、経済大国化で、日中関係を敵対から友好へ変えた声明の枠組みが揺らいでいる。関係安定化を図る新たな合意を目指すべきだ。

     72年の選択は日中に発展の機会を作り出した。日中平和友好条約が結ばれた78年にはトウ小平が市場経済化にかじを切り、日本の政府開発援助(ODA)が中国の発展を支えた。

     72年当時に約9000人に過ぎなかった日中間の人の往来は昨年、900万人近くにまで増えた。貿易額も約11億ドルから約3000億ドルへと約270倍に拡大した。

     日本企業が生産拠点を中国に移し、中国市場が日本製品の輸出先に育つなど相互利益も拡大した。日中の敵対関係が続いていれば、東アジアの繁栄には限界があったろう。

     一方で国民感情は悪化した。中国ではイデオロギーに代わる国民統合の手段として愛国主義教育が進められ、若者の間に反日意識が広がった。逆に日本では中国の急速な軍備拡張や海洋進出に中国脅威論が台頭し、嫌中感情が高まった。

     2012年9月に日本が尖閣諸島の「国有化」を宣言してから5年。首脳レベルの交流や政治、安保対話は停滞している。核実験や大陸間弾道ミサイルの発射実験を続ける北朝鮮への対応を考えれば、今こそ日中の連携が必要なはずだ。

     日中は共同声明、平和友好条約の後、98年に日中共同宣言、08年に戦略的互恵関係の包括的推進に関する共同声明に合意した。この「四つの基本文書」は共に覇権を求めないことなどなお今日的意義を持つ。

     しかし、日中を取り巻く環境は変化している。世界の中での日中協力の重要性を明確にし、国民感情の好転につながる「第5の政治文書」が必要だ。中国公船の領海侵入が日常化する現状を改め、朝鮮半島非核化など共通の利益で戦略的な対話を増やすといった合意が求められる。

     来月の総選挙、中国の共産党大会で両国ともに新たな政府の体制が決まる。困難な合意を実現してきた先人に学び、首脳相互訪問を含め、関係再構築に動くべき時期だ。

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