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余録

「百舌勘定」という言葉がある…

 「百舌勘定(もずかんじょう)」という言葉がある。モズ、ハト、シギが15文の食べ物を買ったが、モズはハトに8文、シギに7文払わせ、自分は知らんぷり。そんな昔話から自分の懐の痛まぬ算段を人に押しつけることをいう▲小さな体なのに肉食系で、タカのような猛禽(もうきん)扱いされたモズである。なぜ昔の人がモズを小ずるいけちん坊に見たてたのかはよく分からない。名前の百舌はいろいろな鳥のさえずりを見事にまねる習性から定着したとみていいだろう▲ものまねは相手をおびきよせて捕食する詐術かとも疑われたが、雌への雄の求愛行動という見方が有力らしい。その芸達者のモズの“地声”による高鳴きが、青空を切り裂くように響き渡る秋である▲久々にすっきり晴れた秋空を見て、昔聞いた「キイーキイーッ」という鋭い声を思い出したが、近年は聞かない。気になったので今季の気象庁の生物季節観測で各地の初鳴きを調べると、きのうは高松や金沢などからの報告があった▲先月末から山形、宮崎、高知、静岡、名古屋などで観測されてきた初鳴きだ。平年と比べると早いところ遅いところさまざまなようである。だがそもそも東京都区部ではモズが絶滅危惧種に指定されていたから、声を聞かないわけだ▲トカゲなどの獲物を枝などに刺す速贄(はやにえ)の習性でも知られるモズである。観察する人にはその贄のバラエティーで地域の生態系が分かるそうだ。私たちを取り巻く自然環境の変化を昔話の常連から教わらねばならない現代の「百舌勘定」である。

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