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[コラム]ロシアW杯躍進のカギは“原点回帰”…長友佑都が説く堅守速攻の「可能性」

情報提供:サッカーキング

ニュージーランド戦でフル出場を果たした長友佑都
 2018 FIFAワールドカップ ロシア本番への本格的なサバイバルの一歩となる6日のニュージーランド代表戦(豊田)を、大迫勇也(ケルン)と倉田秋(ガンバ大阪)のゴールで2-1と辛くも勝ち切った日本代表。翌7日は豊田市内でトレーニングを実施。前日先発組の11人がクールダウンに努め、途中出場の乾貴士(エイバル)らはフォーメーション確認や紅白戦などを1時間半近く消化した。左太もも裏を痛めている原口元気(ヘルタ・ベルリン)は依然として別メニューが続いていて、10日のハイチ代表戦(横浜)に出られるかどうかは微妙な情勢だ。彼の動向も含めて次のメンバーが決まるが、次戦はスタメンの顔ぶれがガラリと変わる可能性が高そうだ。

 ハイチはFIFAランキング48位で、40位の日本をわずかに下回る。ボール支配率61パーセント対39パーセントと日本が圧倒したニュージーランドよりは数字的に拮抗してくると見られるが、最終予選のオーストラリア戦よりも日本が保持する時間が多くなるだろう。

 となると、6日のゲーム同様、いかにして相手の堅守を打開してゴールを奪うかという課題に直面する。ヴァイッド・ハリルホジッチ監督率いる今の日本代表はそのようなサッカーを志向していないため、難しいテーマではあるが、チームのバリエーションを広げていく好機でもある。

 ニュージーランド戦で非常にアグレッシブな動きを見せた長友佑都(インテル)も「乾のような(個の打開力を備えた)選手が出てくると、引かれた相手でも崩せるチャンスは増えてくる」と話しており、ハイチ戦でも選手の起用法や組み合わせは一つのカギになってそうだ。この問題はロシアまでに考えなければならない重要テーマの一つ。ただ、本大会で11月に挑むブラジル代表、ベルギー代表のような強豪との対戦が続くことを考えると、やはりハリルホジッチ監督の求める堅守速攻のスタイルを研ぎ澄ませることが先決だろう。

「次のワールドカップで自分たちがポゼッションしていくサッカーは想像してないですね。監督が今、目指しているサッカーが唯一、日本が世界で結果を出す可能性がある戦い方なのかなと感じています。それは(2010年)南アフリカの時に近いのかなと。選手のチョイスを見ても、スプリントができて、速いサッカーのできる選手を好んでる。みんなで守って泥臭くボールを奪ってカウンターを仕掛けていくスタイルが一番、僕らに合ってると思います」と過去2回の世界舞台を経験した長友も改めてこう断言した。

 南アフリカW杯直前のイングランド代表とコートジボワール代表とのテストマッチで惨敗し、岡田武史監督(当時)が本番目前で自陣でブロックを作るスタイルに転換した時、選手からは少なからず戸惑いの声が上がった。グループEを2位通過し、ラウンド16でパラグアイ代表にPK負けした時も、エースに躍り出た本田圭佑(パチューカ)は「日本対パラグアイ戦を面白いと思って見た人が世界にどれだけいたのか」と急転換した守備的戦術に納得しきれない面があったことを吐露した。

 同い年の盟友・長友もその考えに賛同し、ブラジルW杯までの4年間は自分たちが主導権を握るスタイルを追い求めてきた。

「後ろに残って守備をするならセンターバックみたいな守備の長所を持ってる選手を置けばいいと思うけど、(アルベルト・ザッケローニ)監督が僕を使ってるってことは、攻撃にどんどん参加する仕事を求められてるということ。それは監督からも直接要求されている」とブラジルW杯直前の彼は攻めで相手を凌駕することに躍起になっていた。長友のみならず、前回の主力の大半が同じ考え方で突き進もうとしていた。

 その結果が0勝1分け2敗のグループ最下位という惨敗だ。長友は「4年前は自分の状態が良くて、そこで得た自信が過信に変わってしまった」と今回の10月2連戦に向けた合宿に合流した際、反省の弁を口にした。その後、ハビエル・アギーレ監督体制の半年間でもアジア連覇を果たせず、どの方向に進んだらいいか、本人も途方に暮れていたところがあった。そんな時に出会ったのが、デュエルという言葉をモットーとするハリルホジッチ監督だった。もともと1対1の守備に絶対的な強みを持ち、南アフリカW杯でもカメルーン代表FWサミュエル・エトー(アンタルヤスポル)やオランダ代表FWアリエン・ロッベン(バイエルン)といった相手キーマン封じ役を完璧にこなして評価を高めた長友にとっては、自身の原点を思い出すきっかけになった。そして、南アフリカW杯の時ような堅守をベースにした戦い方をすることが、世界で16強の壁を超える早道だと再認識したのだ。

「自分自身、いろいろと経験した中で、やっぱりやっていくスタイルは南アフリカの時のようなサッカーが日本にとっていいんじゃないかと感じてます」というこの日の彼の言葉にはさまざまな含蓄が感じられた。

 もちろん7年前の岡田ジャパンと今の日本代表は守備の仕方、攻撃タレントの特性が全く異なる。守りの方はよりアグレッシブで、高い位置でのボール奪取を目指しているし、攻めの方も素早い切り替えからのゴールというのを突き詰めようとしている。ただ、長友の言うように「ポゼッションされても、みんなで守って泥臭くボールを奪っていくこと」は南アフリカW杯同様、日本全体として絶対にやり切らなければいけない点。ニュージーランドという自陣に引いて守ってくる相手と対峙したことで、改めて自分たちの進むべき道を再確認できたのは大きなプラスと言っていい。

 過去の紆余曲折を知る背番号5には、これまでの経験をチームメートに伝えると同時に、どうすればハリル流スタイルを確立できるかを模索するけん引役になってほしい。さしあたってハイチ戦で彼が出ることになれば、相手の出方を踏まえつつ、行くべきか引くべきかを的確に判断していくことが肝要だ。最多キャップ数98試合を誇るベテランに課せられる責務は少なくない。

文=元川悦子

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