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社説

教師の叱責で中学生自殺 教育と無縁な威圧的指導

 教師の生徒指導が威圧的に行われると、子供は精神的に追い詰められていく。それを教育現場は理解できたのだろうか。

     福井県池田町で、自殺した中学2年の男子生徒に関する調査報告書が公表された。「担任と副担任の厳しい叱責にさらされ続け孤立感、絶望感を深めた」。弁護士らの調査委員会は自殺の原因をこう結論付けた。

     担任だった30代男性教師は、生徒会活動の準備の遅れや忘れ物を理由に生徒を大声で怒鳴った。職員室や校門の前で叱責し「身震いするくらいの怒声」との目撃証言がある。

     副担任の30代女性教師も宿題の遅れで執拗(しつよう)な指導を繰り返したと報告書は指摘した。指導中、生徒が過呼吸の症状を訴えたが、家族や管理職には伝えなかった。

     担任と副担任の双方から厳しく叱責されれば、生徒は逃げ場がない。いじめ同然であり、責任は重大だ。

     問題はこれだけではない。校長や教頭は2人の叱責を目撃するなどして知っていたのに改善に動かなかった。管理職として詳しく調査し、対処する必要があった。

     報告書によると、同僚が指導方法を変えるよう注意したこともあったが、多くの教師は問題と思わなかったという。その結果、最悪の事態を招いてしまった。

     教師の指導をきっかけにした生徒の自殺は後を絶たない。2012年に大阪市内の高校生が部活動で顧問から体罰を受けた後に自殺した。約2年前には誤って記載した非行記録を基に進路指導を受けた広島県内の中学生が命を絶っている。

     警察庁によると、昨年までの10年間に「教師との人間関係」が原因の中高生の自殺は32件あった。

     「生徒のため」であればどんな指導も許されるわけではない。生徒指導は生徒の人格を尊重しながら、社会的資質や能力を高めるのが目的だ。叱る必要があっても限度を超えると言葉の暴力となる。

     教師が生徒と信頼関係を築き、学校は組織的に問題解決に取り組むのは当然のことだ。一方で生徒指導に明確な基準はなく、過剰な叱責でも教師は正当化しがちだと一般的に指摘されている。子供に精神的な負荷を与えない指導のあり方について議論を深めるべきだ。

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