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余録

若手秀才官僚の王雲錦がある夜…

 若手秀才官僚の王雲錦(おううんきん)がある夜、親戚や知人とカルタをしていると突然1枚足りないのに気づき酒宴に変えた。翌日、参内(さんだい)すると皇帝から「きのうは何をしていたか」と聞かれたので、ありのままに答える▲「内輪のことでもうそをつかないのはよろしい」。皇帝がそう笑って袖から出したのは、前夜なくなったカルタだった--この皇帝こそ清朝の第5代君主、雍正帝(ようせいてい)だった。次の乾隆帝(けんりゅうてい)の世、大清帝国の絶頂期の礎を築いた皇帝である▲雍正帝は功臣や兄弟まで粛清してその地位を固めた後、官僚の党派根絶と腐敗摘発に強権を振るった。王雲錦の話も皇帝の監視能力を宣伝するために広めたらしい。その独裁体制の仕上げが知識人への言論弾圧「文字の獄」であった▲18世紀の清は世界で突出した経済超大国だったのを思えば、何やら今の中国共産党の習近平(しゅうきんぺい)総書記のめざすところがダブって見える。「習1強」と評される人事を固め、自らの名を冠した指導思想を掲げる2期目の新体制が始動した▲世紀半ばに「社会主義現代化強国」を築くとの目標を掲げた習氏である。つまり党独裁下で軍事も経済も世界第一級の先進国にするという。だが個の自由や多元的価値を単一の指導理念に押し込めて文明の「現代化」は果たせるのか▲雍正帝は皇太子を立てずに、死後開封される勅書で跡継ぎを示す「太子密建(たいしみっけん)」も創始している。後継者を示さぬ異例の人事も臆測を呼んだ習新体制だが、もしや後継を競わせ求心力を保つ才知も継承したのか。

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