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社説

不正横行の商工中金 存続させる意義あるのか

 ここまで不正がはびこった組織を存続させる意義があるのだろうか。

     政府系金融機関の商工中金は、中小企業向けの不正融資が約4800件に上り、全国100店のほぼすべてで行われていたと発表した。

     ほかにも中小企業対象の景況調査を聞き取りせずに勝手に作ったり、補助金申請の関係書類を偽造したりとさまざまな不正が発覚した。ずさんな体質にあきれるばかりだ。

     不正があった融資は、経済危機や大規模災害などで経営が悪化した企業に低利で貸す制度だ。書類を改ざんし、対象でない健全な企業にも融資して実績を水増しした。

     国が利子補給するため、民間金融機関の融資圧迫につながらないよう配慮が必要と関係法令で定めているが、経営陣は収益の拡大に利用した。法令順守意識の欠如がほかの不正も招く背景になったという。

     問題の根源は、中小企業向け融資を自らの存在意義と位置付け、政策金融の役割を逸脱したことだ。

     2005年の政策金融改革に伴い、商工中金は15年までの完全民営化が決まっていた。だが、リーマン・ショックなどの危機への対応を理由に先送りされている。政策金融の重要性をことさら強調し、完全民営化を逃れようとしたのではないか。

     最近の社長は2代連続で経済産業省事務次官の経験者だ。天下り先の確保を優先し、監督官庁として経営をチェックする立場をおろそかにしたとみられても仕方がない。

     世耕弘成経産相は、今回の問題で退任する社長の後任を民間から起用する意向を表明した。ただ、見直しに取り組む姿勢を示しているのは、批判をかわし、組織や業務自体は温存したい考えからとも言える。

     中小企業向けの政策金融は安全網として重要だ。しかし商工中金が担う必要はない。今回の不正で公金を扱う責任感がまるでないと分かった。他の政府系金融機関に集約したり、民間金融機関が信用保証協会と組んだりしてできるはずだ。

     商工中金は戦後、資金力の乏しい民間金融機関に代わって中小企業に融資し、高度経済成長を支えてきた。経済が成熟し、カネ余りが目立つようになった今、役割は薄れている。統廃合も含めて、抜本的な見直しを検討すべきだ。

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