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不知火のほとりで

石牟礼道子の世界/62 時間

あるとも見えぬうねりをたたえて=熊本県水俣市で、田鍋公也撮影

 <日曜カルチャー>

ささくれだち割れる

 「あー、ドキドキする」。9月15日夕方、熊本市の病院のエレベーターの中、写真家の石内都さんが緊張の面持ちである。石牟礼道子さんは開放フロアでくつろいでいる。近づいた石内さんは、「私のこと、おぼえていますか?」と話しかけた。

 石内さんは、熊本市現代美術館の「誉のくまもと展」(11月26日まで)に連作「不知火の指」のモノクロ7点を出品している。被写体は石牟礼さん。2014年と16年に撮影した。7点のうちの1点は右手の指のアップである。<中央の、ゾウさんの鼻のようなゴツゴツと湾曲した人さし指は、私には大廻(うまわ)りの塘(とも)にしか見えない>と私は9月24日付の本欄に書いた。

 石内さんは内覧会に出席するため熊本に来たのだ。翌日の展覧会のトークにも参加する。病院に着くまでの間…

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