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社説

建設石綿訴訟で原告勝訴 救済の制度作りを早急に

 建設現場でのアスベスト(石綿)による健康被害が争われた「建設石綿訴訟」で、東京高裁が国と建材メーカー4社の賠償責任を認めた。

     建設資材に含まれる石綿の粉じんで肺がんや中皮腫にかかった元労働者や遺族約90人が起こした訴訟だ。

     耐火性にすぐれた石綿は建材に広く使われ、1960年代以降の高度経済成長期に大量に輸入された。日本が石綿の輸入を停止したのは2006年だ。欧米各国が80年代に大きく消費量を減らす中で、日本の対策は後れをとった。

     企業、行政の双方が経済成長を優先して健康対策を後回しにしたことが被害の拡大を招いた。そこに問題の本質がある。国と企業両者の責任を認めた点で判決は評価できる。

     石綿を原因とする疾患の労災認定者は年間約1000人で、その半数が大工や塗装工ら建設業従事者だ。

     だが、こうした労働者は現場をわたり歩くため、被害に遭っても特定の雇用主の責任を問いにくい。疾患の発症がどこのメーカーの建材によるものか立証するのも困難だ。

     さらに、中皮腫などは発症までの潜伏期間が30~40年と長く、時間も責任追及の壁となってきた。

     石綿被害をめぐっては、石綿関連工場の元従業員らによる集団訴訟で、最高裁が国の責任を認定し、賠償が行われた。だが、建設労働者の救済は置き去りにされたままだ。

     「建設石綿訴訟」は全国で14件が係争中だ。7件で1審の判決が出ており、6件が国の責任を認定し、うち2件は一部の建材メーカーの責任も認めた。高裁判決は初めてだが、被害救済を求める司法判断の流れは定着しつつあるのではないか。

     集団訴訟の原告患者の7割は既に亡くなっている。全ての司法判断を待っていては解決が遅れる。

     原告らは、国と企業が被害を補償する基金を立法措置で創設することを求めている。公害被害をめぐっては、東京大気汚染訴訟で、国や東京都、自動車メーカーなどが費用を拠出してぜんそく患者の医療費を助成する制度を作った前例もある。

     高度成長期に作られた建物の解体工事がピークを迎え、石綿被害は今後も増加すると予想されている。

     抜本的な救済の枠組み作りを急がなければならない。

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