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段ちゃんの「知っておきたい!中国のコト」

第6回 日本と中国で違う?女性への気遣いの仕方=段文凝

 いよいよ11月ですね。私はこの季節になると「ああ、また1年が終わってしまうなあ」と、ちょっとしんみりした気分になってしまいます。ですが今年は、人生で初めて取り組んだことも多く、とても充実していました。中でも印象深かったのは、舞台で主役を演じるという経験でした。その演技の中で、面白いことに気が付きました。

     この作品で、私は中国人のモデル役を演じました。あるシーンで、彼氏役の俳優さんが私に紙袋を持たされました。私は買い物に熱中して彼氏のことはお構いなしに、どんどん紙袋を増やしていきました。すでに持ちきれないほどの量になってもまだ買い物をやめないので、彼氏が大荷物を抱えながら困惑した顔をしました。

     このシーンを日本で演じた時、客席からは笑い声が起きました。しかし、同じシーンを上海で演じた時、客席から特に笑いは起きなかったのです。私は、そこであることに気が付きました。「中国のお客さんにとって、彼氏が彼女の荷物を持つのは当たり前で、珍しい事ではないから」なのではないかと。

     私は以前、受け持っていた中国語の授業で、日本人の男子生徒にデートの時、彼女の荷物を持つかどうかを聞いたことがあります。持たないと答えた生徒は、次のように理由を話してくれました。「女性用のブランドと分かる荷物を、男の自分が持っていたらおかしいから」「自分が買ったものは、自分で持ったほうがうれしいはずだから」。次に、女子生徒にも聞きました。彼氏に荷物を持ってもらいたくない、と答えた生徒の理由はこうでした。「自分が荷物を男性に持たせる女性だと思われたくないから」。私は同じ質問を、日本人の友人にもしたことがありますが、20代前半の若い女性でも、男性に何かをさせるのは良くないと答える人が多く、驚いたのを覚えています。

     私を含め、中国の女性は気が強い人が多いので、気持ちをストレートに出す傾向があります。たとえば私がたくさん荷物を持っているのに、彼氏が持とうとしてくれないと「どうして優しくしてくれないの!」と不満が募り、不機嫌な態度をとってしまうかもしれません。また中国では、彼氏が彼女の荷物を持たないと、カップルの仲が悪いのかなと周囲から思われてしまいます。彼氏が彼女を大切に思うのは日本でも中国でも同じだと思いますが、男性の愛情の示し方も、女性の感情の表現の仕方も、両国では違うのかもしれません。

    誰しも時にはけんかしてしまうことも・・・・・・。でもそれは決して悪いことではありません。

    私がすてきだなと思う男性は……

     荷物を持ってくれる優しさも男性の魅力だと思いますが、日本人男性ならではの魅力もあります。それは、空気を読み、相手の気持ちをすぐに察してくれることです。私は初対面でプライベートな事を聞かれるのがちょっと苦手なのですが、日本ではまずそのようなことはありません。一緒にしゃべっていても、私の話に合わせて話題を選んでくれたり、心情をくみ取ってくれたり、とても心地よい感覚で話すことができます。

     私は恋愛をするとき、大事なのは「相性」だと思っています。例えば面白いと感じることが似ていたり、同じ食べ物をおいしいと感じたり、一緒にいて心地よかったり。しかしこの相性は、すぐにはわからないので、じっくりと時間をかけてお互いの心を理解する必要があります。

     相手の心を理解するためには、自分がしてあげたいことだけをやっていればいいわけではありません。ちゃんと心を通わせ、相手が何を欲しているかを知り、相手の立場に立って気持ちを思いやることで、初めて理解できたといえます。恋愛に限らず、仕事でも、家族の間でも大事な事だと思います。

    けんかをしても仲直りすればいい

     ただ、いくら「相性」が良くても、時にはもめてしまうことがあります。中国ではカップル同士で言いたいことを言い合うのは当たり前のことです。それがけんかのように見えてしまうことも・・・・・・。例えば、中国では、大勢の人が見ている中でも、納得できないことがあれば、その場でけんかがはじまってしまうことがよくあります。

     誤解を恐れずに言えば、多くの中国人は、けんか自体を悪いことだとは思っていません。育った環境も、慣れたやり方も、ものの考え方や見る視点も、人によってそれぞれ違うからです。最初はお互いに自分のほうが正しいと思っているので、どうしてもけんかになります。でも、ここでどちらかが先に妥協してすぐに謝ってしまったら、なぜけんかになったのか、相手が何を問題だと考えているのかが、あいまいになってしまいます。けんかが始まっても、相手を理解する絶好のチャンスだととらえて、お互いに納得できるまでとことん話し合い、本音を明らかにする。そうすれば、どんどん絆が深まる。こう考える人が、多いのではないでしょうか。

     私も、こうした考え方をする中国人の一人です。少々重い話になってしまうかもしれませんが、人と人とが本当に理解し合うというのは、口で言うほど簡単ではありません。本当に自分が何を考え、欲しいと思っているのか、正直な気持ちをそのまま相手に伝えれば、時に意見が対立して、けんかになってしまいます。けれども、そこで少しでも気持ちを偽ったり、感情をごまかしたりすれば、相手から理解されることも無くなります。なぜならそれは、自分の本当の気持ちではなく、うその気持ちだからです。

     もちろん、お互い平和で、仲良く関係を続けるために、多少お互いの意見が食い違っても目をつぶり、見ないふりをする方法もあります。お互いに納得できれば、これはとても賢いやり方です。でも、もっと相手を深く知りたいと思うなら、真剣に向き合うしかないのです。時に、相手の意外な一面を知ってしまうことや、自分の素顔をさらけ出すつらさに、逃げ出したくなるかもしれません。けれど、そうしたことを乗り越え、寄り添う気持ちを持ち続けることができたなら、その時初めてお互いの本当の姿を理解し合えた、と言えると思います。私が言っていることは少々子供っぽいでしょうか。それでも、誰かとそんな風に理解し合えたとしたら・・・・・・とてもすてきなことだと思いませんか?

    この連載では素顔の私の、本当の気持ちをつづっていきます!

    段文凝

    (だん・ぶんぎょう)中国・天津市出身。2009年5月来日。同年まで天津テレビ局に所属。2011年4月より、NHK教育テレビ『テレビで中国語』にレギュラー出演。(2017年3月卒業)2014年早稲田大学大学院政治学研究科ジャーナリズムコース卒業。日中間を行き来し講演活動を行い、「かわいすぎる中国語講師」として幅広い層に人気を得ている。2015年、2016年に毎日新聞夕刊「ひ・と・も・よ・う」で取り上げられた。2017年現在、NHKWORLDのラジオにレギュラー出演。舞台や映画などを中心に女優としても活躍している。

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