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社説

日本版GPS本格運用へ 新産業を導くインフラに

 日本版GPS(全地球測位システム)の本格運用が来春始まる。政府が準天頂衛星「みちびき」4号機の打ち上げに成功し、予定していた衛星4基による体制が整った。

     巨額の国家予算を投じて構築された新たな宇宙インフラだ。官民の連携で、みちびきを利用した多様なサービスを生み出し、社会に利益をもたらすシステムに育ててほしい。

     GPSは米国が軍事目的で開発した。民生用信号が無償提供されており、カーナビゲーションやスマートフォンなどに広く利用されている。

     ただ、GPS衛星が出す電波が高層ビルや山などに遮られると、測位精度が落ちる。日本の上空を入れ替わるように飛ぶみちびきの信号と組み合わせることで、誤差が常時10メートル程度に縮まると期待される。スマホなどもその恩恵を受ける。

     さらに注目されているのは、誤差を6センチ程度まで縮められる別の信号をみちびきが出すことだ。専用受信機とアンテナは必要だが、農業機械や自動車の自動運転、ドローンを利用した配送への活用など、さまざまな実証試験が行われている。

     ただ、投資に見合った活用が進むかどうかはまだ分からない。

     センチメートル級の測位に必要な受信機は現在、安い物でも100万円近い。内閣府はみちびきの経済波及効果を2兆円と試算しているが、受信機の小型化や低価格化を進めないと実現は難しいのではないか。

     4基態勢の開発と運用に2032年度までで約2850億円かかる。政府は23年度までに7基態勢とし、米国のGPSに頼らずとも測位可能にする方針だ。そうなると、さらに費用はかさむことになる。

     日本が独自の衛星測位システムを持つことは、安全保障の観点からは有益である。欧州連合(EU)や中国、ロシアなども独自の衛星測位システムを構築している。

     しかし、費用対効果の観点を忘れては、国民の理解も得られない。

     みちびきの信号は東南アジアやオーストラリアなどでも受信することができる。政府は、こうした地域での利用拡大を積極的に働きかけるべきだ。みちびきもEUのシステムも利用可能な受信機を開発するなど、他国の測位システムとの協調も進めていく必要がある。

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