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社説

トランプ政権のFRB人事 中銀の独立性は大丈夫か

 米国の中央銀行総裁である連邦準備制度理事会(FRB)議長は、米経済のみならず、私たち日本人の暮らしまで左右する、強大な影響力の持ち主だ。

     その職に新たに就く人物をトランプ大統領が発表した。ジェローム・パウエル氏(64)だ。上院の承認が得られれば、来年2月に任期が終わるジャネット・イエレン現議長の後任として就任する。

     弁護士出身だが、2012年以降、FRBで理事を務めており、金融政策においては、イエレン氏の考え方に近いとされる。緩やかな利上げ路線が踏襲される可能性が高い。

     だが、気になることもある。

     イエレン議長下で、危機対応の政策を元に戻す作業が進んだとはいえ、道半ばだ。金融政策は依然として景気を刺激する内容である。バブルや金融危機を招くことなく、成長を持続させる任務は容易ではない。

     その過程で大統領から直接、間接に圧力が及ぶことはないか。景気に水を差しかねない利上げをトランプ氏が好まないと思われるからだ。

     もう一つは、トランプ政権が目指す金融業界の規制緩和である。パウエル氏がどこまで同調するかは不明だが、長期の低金利と規制緩和が組み合わさる時、再びマネーの暴走が起きても不思議ではない。

     それにしても、トランプ大統領によるFRB議長人事は異例ずくめだった。イエレン議長は1期4年で退くが、別の政党の大統領が就任しても、議長は再任され2期以上務めるのが通例になっていた。

     選定の過程が政治ショーの様相を見せたのも極めて異例である。大統領がテレビ番組の中で進行役に「あなたの好みを教えて」と迫ったり、非公開の場とはいえ、集まった共和党議員に対し、2人に絞り込まれた候補者のどちらが良いか、挙手で答えさせたりしたという。

     FRB人事では、現在空席となっている理事ポストの補充を含め、定員7人の理事(正副議長を含む)のうち5人が最終的にトランプ氏による選任となる可能性さえある。

     健全な経済成長は、中央銀行の独立性を尊重する政治家と、圧力に屈しない中央銀行があって得られる。今回の人事劇を見る限り、先行きを案じずにはいられない。

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