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余録

14世紀英国のジョン・マンデビルの「東方旅行記」はインド…

 14世紀英国のジョン・マンデビルの「東方旅行記」はインド、中国からさらに東へ向かう幻想紀行である。最後はアダムとイブのいた「地上の楽園」近くまで行くが、そこは壁に囲まれ入れないと聞かされた▲パラダイス(楽園)はもともとペルシャ語のパイリダエーザ--壁に囲まれた庭園という意味だった。荒涼(こうりょう)たる乾燥した土地の一角を壁で囲って緑と水のあふれる園を造り、王侯や富豪の遊ぶ別天地にする。それがパラダイスだった▲今日、欧州諸国ではカリブ海などの租税回避地(そぜいかいひち)(タックスヘイブン)を「税の楽園」と呼んでいる。パナマ文書に続き、新たに明るみに出た大量のタックスヘイブンの顧客のデータが「パラダイス文書」と名づけられたゆえんである▲公開されたのは法律事務所の内部文書など1340万件。調査では47カ国、127人の政治家や君主の関与が判明した。なかにはカナダのトルドー首相の盟友の課税逃れ疑惑や、英エリザベス女王の個人資産のファンド投資もあった▲鳩山由紀夫(はとやま・ゆきお)元首相ら日本人や日本企業の名も出たが、当事者は不正な取引ではないと説明している。波紋が広がっているのは、ロス米商務長官の関連企業と露企業の関係や、フェイスブックなどへの露政府系の資金流入の疑惑である▲不正が露見したセレブには各国の税務、捜査当局の調べが待っている。壁に守られた楽園に遊んでいたつもりの王侯や富豪たちはこれで分かったろう。情報の壁は容易に破られる最新パラダイス事情である。

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