メインメニューをとばして、このページの本文エリアへ

我らが少女A

/100 第3章 34=高村薫 多田和博・挿画監修

 高校時代、朱美の素行は突然悪くなり、誰の眼(め)にも粗暴な非行少女が出現する。しかし同時に、周囲の印象は中学時代にもまして薄くなり、まるで存在ごと濃霧のなかへ吸い込まれていったかのようだ。

 教師たちの覚えている朱美は、身も蓋(ふた)もない姿をしている。学校に来ていたのは一年の一学期までで、二学期からは欠席だらけになり、週に二、三回は警察から補導の連絡が入る札付きだった。たまに登校するのは寝るためで、カバンに化粧道具と避妊具が入っていたこともある。シンナーや刃物が入っていなかったのが、せめてもの救いだ。夜遊びして朝帰りするので、スーパー勤めの母親とはすれ違いが多く、担任が家庭訪問しても、鬱病気味の母親ものれんに腕押しで、学校としては為(な)すすべがなかった。自宅近くの水彩画教室に通っていたのは、学校としては把握していない。結局、三年の冬に退学して、そのあと家…

この記事は有料記事です。

残り576文字(全文960文字)

毎日新聞のアカウント

話題の記事

アクセスランキング

毎時01分更新

  1. 東京都 「障がいは言い訳」ポスター、批判で撤去
  2. 新在留資格 送還拒否の一部の国を除外 法務省方針
  3. 地面師事件 なぜ、積水ハウスはだまされたのか
  4. 記者不明 「殺害の証拠発見」AP報道 サウジ総領事出国
  5. KYB 「建物、震度7にも大丈夫」 データ改ざんで検証

編集部のオススメ記事

のマークについて

毎日新聞社は、東京2020大会のオフィシャルパートナーです