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炎のなかへ

/9 アンディ・タケシの東京大空襲 石田衣良 望月ミネタロウ・画

三月七日(5)

 タケシはゆっくりとかみ締めながら、ほとんどがサツマイモのごはんをたべた。ごろごろとしたイモの欠片(かけら)に米がぱらぱらとまとわりついている。これが銀シャリなら、同じサツマイモの煮つけだって、どれほどおいしいだろう。それでも量だけはあるので、ずいぶんとましだった。

 タケシは以前、錦糸町駅を歩いている大人がいきなり倒れたのを見たことがあった。つぎの当たった国民服を着た背の高い男だ。病気だったのではない。ひどい空腹だったのだ。倒れたまましばらく起きあがってこなかった。

 人はあまりにお腹(なか)が空(す)くと突然倒れてしまう生きものなのだ。自分だって例外ではない。この…

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