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社説

米大統領のアジア歴訪 安定への戦略が見えない

 結局は「トランプのトランプによるトランプのための歴訪」だったのか。そんな思いを禁じえない。

     トランプ米大統領のアジア歴訪が終わった。米国に帰ったトランプ氏は、ハワイ訪問も含めて「歴史的な12日間の旅だった」と総括した。

     だが、アジアの将来に明るい材料が出てきたとは言いがたい。

     焦点の北朝鮮問題について、日本や韓国、中国、東南アジア諸国などから協調の表明を取り付けたのは意義深い。だが、問題解決への展望が開けたわけではない。

     特に中国の思惑が読みにくい。

     米国が本当に北朝鮮への武力行使も排除しないのなら、米中首脳は北朝鮮に非核化を迫る方策や万一の軍事行動時の対応について、真剣に協議するのが普通だろう。

     だが、突っ込んだ協議が米中間でなされたとは考えにくい。このところ挑発を控えてきた北朝鮮は、米国の戦略が定まらず米中の合意もないと見れば、再びミサイル発射などの挑発を始めることもありえよう。

     トランプ氏は南シナ海の問題にも深入りしなかった。東アジアサミットの演説草稿には中国による軍事拠点化への懸念が記されたものの、自身は同サミットへの出席を取りやめた。仲裁裁判所の判断に基づいて南シナ海の秩序を守る意欲や理念を示さなかったのは残念だ。

     「自由で開かれたインド太平洋」構想も分かりにくい。安倍晋三首相に同調したと言われるが、対中けん制の意味も兼ねてインドと連携する構想は、そう珍しくない。米国のクリントン元国務長官は2011年、米中とインドを太平洋の「3巨人」と呼び、日本を平和の「礎石」とする論文を発表している。

     トランプ氏はオバマ前大統領のアジア政策に対抗したいのだろう。だが、具体性に欠ける演説からは安定を図る戦略の全体像が見えない。

     外遊の成果についてトランプ氏は巨額の商談成立などを挙げ、「米国はよみがえった」と豪語した。ロシアゲートなどで苦境に立つトランプ氏が現実的な利益を誇りたい気持ちも分からないではない。

     だが、「米国第一」のソロバン勘定が、目に見えない財産、すなわち米国への敬意と信頼を損なってはいないか、冷静な検討が必要だろう。

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