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社説

日産無資格検査で報告書 教訓とすべき不正の温床

 日産自動車は、無資格の社員による完成車検査が横行していた問題で報告書をまとめた。

     無資格検査は1979年に一部の工場で始まった可能性があり、90年代には5工場に広がった。

     不正が発覚しないよう現場の上司が、国土交通省の立ち入りの際に隠蔽(いんぺい)工作を指示した例があった。また、検査資格を得るための社内試験では、問題と答案を一緒に配るなどの不正もあったという。

     報告書はその原因を次のように指摘している。

     (1)工場の管理職も本社も、国に代わって検査をすることの重大性をふまえた人員配置を検討しなかった

     (2)現場は法令違反の認識はあったものの、それを重大視する規範意識に欠けていた

     (3)工場の管理職と検査現場の係長らとの間に距離があり、人員不足の対応策などが講じられなかった

     再発防止に検査員を85人増やし、完成検査場所を区切って顔認証による入出場管理を導入する。また、本社と工場の連携を強めるため、全工場を統括する役員を置くという。

     不正の背景にあるのは、企業としての一体感の欠落であり、本社と工場、そして工場内での意思疎通の乏しさだ。報告書は、不正をただす内部通報制度が機能しなかった理由について、「告発しても是正されないだろう」と現場は考えたと記す。

     西川広人社長は、無資格検査は30年以上続く「悪習」と強調し、99年からカルロス・ゴーン氏が主導したコスト削減・効率重視の経営との関係を否定した。その改革による業績拡大に伴って、この数年ゴーン氏は年10億円前後の報酬を得ている。

     だが、経営に余裕が生じても、現場の人手不足は解消されなかった。品質と信頼を維持するための「最終関門」である検査の現場は、ずっと疲弊したままだったと言える。実際、社内試験でのあからさまな不正は最近になって始まっている。

     日産の例は多くの企業、とりわけ製造業にとって人ごとではない。

     社内の意思疎通を欠けば、不正や重大な問題も放置される。そして直接に利益をあげない部門を軽視し、効率を求めすぎると、いずれ組織のひずみとなって危機を招く。そうした教訓を読み取るべきだろう。

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