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余録

1人用、1回分に小分けした鍋のつゆ、焼き肉のたれ、ご飯のおとも…

 1人用、1回分に小分けした鍋のつゆ、焼き肉のたれ、ご飯のおとも……。スーパーの棚にいつからこうも増えたのかと驚くほどだ。食卓に「個食」「孤食」と呼ばれる風景が広がったせいだろう▲こちらの料理も5人分から始まったが、やがて4人分になり、今では2人分の時も多い。NHKの長寿番組「きょうの料理」のレシピだ。1957年の放送開始から今月で60周年を迎えた。紹介する料理は視聴者のニーズを反映してきた▲79年、番組の講師に抜てきされたのは料理研究家の小林カツ代さんだ。働く女性が増えてきた時代。今でいう「時短メニュー」のはしりのころである。彼女のレシピには三つの約束事があったという。「おいしくて、早くて、安い」「特別な材料は使わない」「食卓にはユーモアがないといけない」(中原一歩(なかはら・いっぽ)著「小林カツ代伝」)▲小林さんはこう言っていたという。「(家庭料理は)家族全員で食事を終えたとき、ああ、おいしかった、この献立、今度はいつ食べられるかなって家族に思ってもらえる必要がある」。家族のリクエストが家庭の味になっていった▲同書には小林さんの詩が紹介されている。<らくらくと らくらくと 料理作りができたなら 人生どんなにらくでしょう 苦しいことや つらいこと いっぱい いっぱいあるなかで せめて日々のお料理は 底抜けに明るく 楽しく作りたい-->▲レシピには処方箋という意味もある。寂しい食卓の風景をにぎやかにするレシピはないか。

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