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マルタ

女性記者殺害1カ月(その1) 犯罪組織の影 マルタの闇、追及暗転

ダフネ・カルアナガリチアさんの車が爆破された現場では、「JUSTICE(正義を)」と書かれた横断幕とマルタの国旗が掲げられていた=マルタ北部ビドニヤで2017年11月7日

 租税回避地(タックスヘイブン)を巡る「パナマ文書」の報道に参加した地中海の島国マルタの女性調査報道記者、ダフネ・カルアナガリチアさん(53)が車の爆破によって殺害されて1カ月以上たった。誰が彼女を殺害したのか--。彼女がペンで追及していたのはパナマ文書だけではない。現地で取材すると、欧州連合(EU)加盟国のマルタを入り口に、欧州で勢力拡大を狙う犯罪組織の影も見えてきた。

     事件は10月16日午後3時ごろ、北部ビドニジャの丘陵地の道路で起きた。目撃者によると、カルアナガリチアさんが車で自宅を出た直後、車が2度爆発し炎に包まれた。当局は組織的犯罪との見方を強めている。

     「彼女の命を狙っていた組織は数えきれない」。複数の関係者はそう証言する。カルアナガリチアさんは、パナマ文書の公開前の昨年2月、ムスカット首相の側近らがパナマに企業を保有していることを報じ、同4月の文書公開後、さらに追及を強めた。

     他にも、2016年以降、リビアの民兵組織とマルタ企業が協力し、リビア産原油を欧州に密輸している疑惑を報道。国債購入などと引き換えにマルタの旅券を「販売」する政府の政策を強く批判する論調の報道も行った。マルタは出入国審査なしでEU域内の多くの国々を行き来できる「シェンゲン協定」の加盟国。ロシアマフィアとのつながりが指摘されるマルタに住んでいないロシアの資産家が、マルタ旅券を取得した実態を明らかにし、マルタ旅券がEU内の移動のために悪用される可能性を警告した。

     マルタは昨年の経済成長率が5・5%と好調だが、カルアナガリチアさんの友人で弁護士のボルグカルドナさん(62)は「外から投資や犯罪が流入し、政府が現状を管理できていない。今後、マルタから欧州全体にマフィアが入り込む可能性がある」と強調する。【ビドニジャ(マルタ北部)で三木幸治】


     ■ことば

    マルタ

     地中海に浮かぶ島国でイタリア・シチリア島の南に位置する。人口は42万人でEU加盟国で最少。面積は約316平方キロで淡路島の半分程度。1964年に英国から独立し、2004年にEUに加盟した。観光立国で年間約200万人が訪れる。公用語はマルタ語と英語。

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