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エジプトテロ

シシ政権に痛手 治安悪化、傾く観光業

 【アスワン(エジプト南部)篠田航一】エジプト東部シナイ半島ビルアブドのモスク(イスラム礼拝所)で24日起き400人以上が死傷したテロ事件は、治安対策を重視する軍人出身のシシ大統領にとり大きな痛手となった。

 来春の大統領選への再選出馬を目指すとみられるシシ大統領は、今後さらに過激派組織「イスラム国」(IS)や傘下組織「ISシナイ州」などの取り締まりを強化する方針だ。しかし、昨年12月以降、首都カイロや北部アレクサンドリアといった主要都市に加え、シナイ半島、西部の砂漠地帯などほぼ国内全土で起きているテロを防ぎ切れていないことから、今後は政権に対する国民の不満が高まる可能性もある。

 「家族が全員殺された。言葉がない」。現場にいたアブデル・ムバラクさんは英メディアにそう語った。ビルアブドは人口約2500人。保守的な地域で、金曜礼拝には男性のみが参加するため、今回の犠牲者には村の有力者が多数含まれているという。地元メディアは、モスク内部で血まみれの毛布に全身をくるまれた犠牲者の遺体が床に多数並んでいる様子を映した。シナイ半島ではコプト教(キリスト教の一派)信徒への襲撃事件も相次ぐ。ISの迫害を恐れてシナイ半島からスエズ運河対岸のナイル川のデルタ地帯に逃げてきた信徒の一人は毎日新聞に「シシ政権はテロを抑え切れていない。あと何人死ねばいいのか」と話した。

 治安悪化は経済も直撃する。2011年の中東民主化要求運動「アラブの春」による革命でムバラク政権が崩壊したエジプトでは、その後も政治混乱やテロが続き、主要財源の観光業が衰退。革命前の10年に1400万人だった入国者数は15年に900万人に激減し、観光収入も10年の125億ドル(約1兆3940億円)から15年は61億ドルに半減した。

 シシ政権は16年11月、為替レートを変動相場制に移行したが、通貨エジプト・ポンドは急落。最近はインフレも続き、国民生活は厳しさを増している。「テロ封じ込め」と「経済立て直し」は相互に関連する政権の重要課題だが、相次ぐテロで観光業への悪影響は避けられない情勢だ。

 有事には軍事攻撃の対象ともなり得るアスワン・ハイ・ダムのある南部アスワンでは24日、ダム周辺を装甲車両が行き交い、厳重な警備が敷かれた。治安部隊による周辺通過車両の検問も念入りで、地元住民は「重要施設では緊張が高まっている」と話した。

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