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「マスコミは〇〇を伝えない!」=粥川準二(科学ライター)

 インターネットでは「マスコミは〇〇を伝えない!」という非難の声がしばしば沸き起こる。しかし少し調べれば、「〇〇」を報じた記事がすぐに見つかることも多い。

     本当に伝えられていないこともたまにはある。「原子放射線の影響に関する国連科学委員会」は2014年に公表した報告書で、福島県での原発事故による放射線で甲状腺がんを含むがんの増加は予想されない、とした。同委員会は15年と16年にもその時点での知見を踏まえて同様の判断を「白書」にまとめた。そして今年10月27日、同委員会は再び白書を公表し、新しい情報を考慮しても見解を変更しないと確認した。

     このことを報じた新聞はごくわずかである。同白書は避難によって高血圧や体重増加などが多発したという重要な事実にも触れたのだが。

     その直前、日本学術会議も同様の見解を報告書にまとめていたが、それも広く報じられなかった(毎日新聞では通常の記事ではなく、坂村健氏の連載コラムで2回も取り上げられた)。マスコミの役割が新しいこと=NEWSを伝えることだとしたら、確かにこれらは新しいことではないかもしれない。結論は同じだからだ。

     しかしながら科学者団体や国際機関が、これまで福島県の医療系研究者たちが報告し続けてきたことを連続して追認したこと自体がきわめて重要なのだ。マスコミは新しいことだけではなく、同じ方向性の結論が連続することで専門家たちのコンセンサス(合意)が形成される過程も報じるべきではないか。


     林英一、金原ひとみ、長有紀枝、吉崎達彦、粥川準二の各氏が交代で執筆、毎週火曜日に掲載します。

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