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社説

横綱・日馬富士が引退 これで落着にはできない

 大相撲の横綱・日馬富士関が現役引退した。貴ノ岩関への暴行で「横綱の名に傷をつけた」と決断した。

 横綱審議委員会は「厳しい処分が必要」との見解を示しており、日本相撲協会でも解雇が想定される状況になっていた。全力士に範を示すべき横綱の暴行であり、引退は当然の流れだろう。

 ただ、きのうの引退届提出にはそれぞれの思惑が透けて見える。

 協会にとっては、現役横綱の解雇となれば、前代未聞で大相撲史に大きな汚点を残す。番付編成会議に引退届を出せば不祥事を起こした横綱の名を次の初場所の番付表に出さずに済む。横綱にとっても、解雇では支払われない退職金も引退なら受け取れる。

 しかし、引退だけでこの問題を決着させてはならない。

 日馬富士関は引退の記者会見で「礼儀がなっていないことを教えるのは先輩の義務」と弁解した。暴力に至ったのもやむなし、とも受け取れる言葉だ。

 暴力の背景を徹底検証して芽を潰していくには、いまだできていない貴ノ岩関の聴取が不可欠だ。

 協会が暴行を知ったのは発生から1週間後だ。さらに報道されるまで何の措置も取らず、日馬富士関は九州場所の土俵に上がっている。「力士のいざこざは部屋同士で」と考えるなら暴力に対する認識が甘い。

 貴ノ岩関の師匠、貴乃花親方は協会に非協力的だ。警察に捜査は委ねても、公益財団法人たる協会の理事、巡業部長として身を置く組織に協力しない姿勢は理解されない。

 若くして入門した部屋で厳しい上下関係の中で鍛えられ、力士が人としても成長する様こそ相撲道だ。しかし、その狭い社会が暴力の温床となる構図は容易に変えられない。

 横綱・朝青龍が知人に暴行し、現役引退してから7年以上がたつ。協会は研修を行い、暴力の根絶を目指してきた。横綱でも暴力を振るえば相撲界に残れない現実を、今回こそ協会全体で教訓とすべきだ。

 八角理事長は「暴力問題の再発防止について」と題した講話で「何回も何回も繰り返して指導していくことが大事」と語った。しかし、同じことが何度も繰り返されればファンの心は離れていくだけだ。

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