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余録

尊敬する有徳の人の話を聞くことを…

 尊敬する有徳の人の話を聞くことを「謦咳(けいがい)に接する」という。謦と咳はいずれもせきのことで、前者は軽いせき払い、後者は重いせきという。せき払いは人に注意を促すサインなので、こんな言い回しができたのか▲だが師走を迎えたこの季節、いくら偉い人でもせきをしているのに接するのはやめた方がよさそうだ。せきの飛沫(ひまつ)は最大4メートルも飛ぶという研究があり、せき1回で英語2000単語をしゃべる分の飛沫がばらまかれるという話もある▲ばらまかれるのが2000語分の知恵ならばいいが、もっと多いインフルエンザウイルスの恐れがある。すでに関東地方では東京、埼玉、千葉の各都県で定点医療機関のインフルエンザ受診者数が基準を超え、流行シーズン入りした▲今季は重症化を防ぐのに有効なワクチンの製造開始が遅れ、ワクチン不足が報じられた。不足は今月には解消するというから、接種希望者は医療機関に問い合わせてほしい。ワクチンは接種後、免疫ができるまで約2週間必要という▲インフルエンザ患者が走り出したり、飛び降りたりする異常行動をめぐる厚生労働省の新たな対策も示された。治療薬との関連が疑われる異常行動だが、薬の服用がなくとも注意が必要で、窓の施錠や1階での療養を呼びかけている▲思えば見知らぬ人同士が互いの「謦咳」に接し合わねばならぬ今日の都市生活である。せきやくしゃみが出たらマスクなどで飛沫を防ぐ「せきエチケット」は、これからの季節に欠かせない徳だろう。

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