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余録

今は「乙巳の変」というそうだ…

 今は「乙巳(いっし)の変」というそうだ。中大兄皇子(なかのおおえのおうじ)らの蘇我(そが)氏打倒の政変で、「大化の改新」と覚えている方が多いだろう。だが日本初の元号「大化」はこの政変で生まれ、「改新」と呼ばれる改革は以後のことだ▲庶民に元号が普及したのは江戸時代というが、庶民は幕府が改元をすると思っていたようだ。そして頻繁に変わる元号より乙巳のようなえとを使う人が多かった。だから明治政府による天皇と元号の一世一元化は一大発明だったのだ▲西欧から太陽暦などの新文明を導入した日本で、天皇の代替わりごとに更新される時間秩序は国家意識の形成に格好の手立てとみられたようだ。その近現代日本が初めて経験することになった天皇陛下の退位とそれに伴う改元である▲退位は2019年4月30日、翌5月1日には皇太子さまが新天皇に即位し、新元号が施行される。きのうの皇室会議を経て、このような日程が固まった。19年3月の年度末案も示されるなか、政治日程を重視した決定になったようだ▲思えば「象徴天皇」という言葉に豊かな彩りを与えた陛下の「平成」の歩みである。その継承への強い願いをにじませた「おことば」と向き合い、主権者たる「国民」が定めた史上初の皇位継承と改元の「日取り」ということになる▲今後は新元号を早くに決め、国民生活や経済への影響を熟慮しながら「継承」を準備しなければなるまい。未来へと進む時間と、過去を取り込んで改まる時間とが交差する「その日」までの17カ月間である。

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