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社説

大阪とサンフランシスコ 自治体断交は行き過ぎだ

 大阪市が米サンフランシスコ市との姉妹都市提携を解消しようとしている。

 サンフランシスコ市議会が中国系民間団体の設置した慰安婦像を公共物として受け入れることを全会一致で議決した。これを中国系のエドウィン・リー市長が承認したことが理由だ。

 像の碑文には「数十万人の女性が性奴隷にされた」「ほとんどが捕らわれの身のまま亡くなった」という表現がある。

 大阪市の吉村洋文市長は「事実関係の不確かな主張を歴史的真実として広めることは日本へのバッシングだ」と主張し、リー市長との直接会談を求めてきた。しかし、要望は受け入れられず、「信頼関係は崩壊した」として提携の解消を文書で通知する方針を表明した。

 両市は1957年に姉妹都市となり、代表団の訪問や高校生のホームステイといった交流事業で親交を深めてきた。大阪市は民間交流事業への補助金支出を打ち切る方針も明らかにした。

 慰安婦問題は一昨年の日韓合意で政治的にようやく決着した。サンフランシスコ市の対応を日本政府は碑文の内容も含め遺憾だとしている。

 大阪市も重ねて抗議してきただけに、提携解消はさらに強い意思表示が必要との判断だろう。ただし、これまで築いた交流を絶ち「断交」するような対応には疑問がある。

 自民、公明両党市議団は「対話で解決すべきだ」と吉村市長に申し入れている。提携の解消に議会の議決は要らないとはいえ、市長の一存で行き過ぎた判断ではないか。

 姉妹都市は56年に当時のアイゼンハワー米大統領が「人と人の交流で世界平和を」と提唱して広がった。

 国益が衝突しやすい国同士とは異なり、自治体交流ならば市民を通して考え方の違いを理解し、垣根を乗り越えやすいとの精神からだろう。

 日米間の第1号は原爆が投下された長崎市と米セントポール市間だった。大阪、サンフランシスコも草分け的存在である。

 見解が違っても関係を断ち切らず、粘り強く理解を求めるような姿勢が必要ではないか。自治体交流の意義と役割にもう一度立ち返ってもらいたい。

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