メインメニューをとばして、このページの本文エリアへ

社説

上昇する再犯者率 地域で積極的な防止策を

 事件の検挙者に占める再犯者の割合が上昇を続けている。

     昨年の犯罪件数や傾向をまとめた「犯罪白書」によると、刑法犯で逮捕されるなどした22万人超の検挙者のうち、再犯者率は過去最悪の48・7%(前年比0・7ポイント増)だった。20年連続の上昇だ。

     再犯の防止は治安向上の重要な柱である。政府は、2012年に策定した「再犯防止に向けた総合対策」で、出所後2年以内に再び刑務所に入所する人の割合を10年間で20%以上減らす目標を掲げている。更生を支える施策の充実が欠かせない。

     高齢者の再犯が数字を押し上げている。65歳以上の出所者の4人に1人弱が2年以内に罪を犯して再び刑務所に入った。

     高齢者の検挙罪名の7割が窃盗だ。出所後の貧困や身寄りがないことが再犯につながっている。認知症などによる判断力の低下も考えられる。更生保護施設をさらに拡充するとともに、行政や福祉機関が連携して、受け皿の開拓も進めるべきだ。

     出所者の更生にとって重要なのが、戻った社会に働く場所があるかどうかだ。だが、現実は厳しい。

     出所者の雇用に協力する民間の「協力雇用主」の登録は1万8000社を超える。だが、実際に雇った会社は昨年度、前年度比14社減の774社だった。減少は6年ぶりだ。

     罪を償い、保護観察を終了した人のうち、無職者の再犯率は有職者の約3倍に上るというデータがある。仕事に就けるか否かが、更生を左右する。社会の支えがやはり欠かせない。行政は、これまで以上に啓発活動に取り組む必要がある。

     最近は自治体の積極的な取り組みがみられる。県レベルでは、兵庫県が出所者らを雇用した企業について、公共工事の入札への参加条件を緩和している。

     市町村レベルの試みもある。兵庫県明石市は昨年から、福祉や医療など関係機関が集まり、出所者らに対し住居の確保や福祉サービスの紹介などを行っている。大阪府吹田市は、保護観察の対象少年を臨時雇用員として直接雇用している。

     昨年施行された再犯防止推進法は、自治体に再犯防止計画を定める努力義務を課した。先進的な取り組みを全国各地に広げていきたい。

    毎日新聞のアカウント

    話題の記事

    アクセスランキング

    毎時01分更新

    1. 新潮45休刊 突然の決断、予想超えた批判
    2. 新潮社 「新潮45」休刊声明全文 「深い反省の思い」
    3. 新潮45休刊 「組織ぐるみ擁護に怒り」新潮社前でデモ
    4. 新潮社 「新潮45」が休刊 杉田氏擁護特集で批判浴び
    5. 大相撲 貴乃花親方「告発は真実」 信念貫き、角界去る

    編集部のオススメ記事

    のマークについて

    毎日新聞社は、東京2020大会のオフィシャルパートナーです