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余録

平安から鎌倉期に活躍した仏師、運慶…

 平安から鎌倉期に活躍した仏師、運慶(うんけい)。東京国立博物館で開催された運慶展で仏像の豊かな表情に驚いた人は多い。慈悲の心、怒り、悲しみ……。顔は内面を表すものだ▲今年はこちらの顔も注目された。「顔認証システム」である。登録された写真と照合すれば本人かどうか、瞬時に見分けられる。羽田空港ではこの10月に導入された。帰国する日本人の顔がパスポートと同じなのか判別している。2020年の東京五輪・パラリンピックではテロ対策にも威力を発揮する▲個人情報保護の観点で議論が行われる一方で、人工知能(AI)による顔認証の技術は急速に進んでいる。車に積んだカメラで撮影した運転者の表情などから疲れ具合を判断し、自動運転に切り替える。そんな未来のクルマもできそうだ▲AIを使ってコンサートの盛り上がりを判定するシステムも開発された。観客の表情から「喜び」や「驚き」の感情を分析し、満足度を数値化するという。AIが人の心を見透かす時代が来るのか▲職場にカメラを置いて社員の顔データを集めれば、仕事のやる気があるか、職場に不満があるか数値で判定できるようになるだろう。そうなれば社員はどんな顔を装えばいいかを学ぼうとするに違いない。顔がデータとして扱われるうちに、内面を素直に顔に表せなくなるかもしれない▲運慶の作品が生き生きとしているのは、人の内面を深く見つめ、仏像の顔として表現したからではないか。その目には今の人の顔がどう見えるだろう。

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