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社説

核の脅威と核管理体制 唯一の被爆国の正念場だ

 北朝鮮がミサイルを発射した11月29日、広島市で第27回国連軍縮会議が開幕した。核廃絶を掲げつつ北朝鮮の脅威に悩む日本。ミサイル発射は、悩める「唯一の被爆国」の姿を改めて浮き彫りにした。

     「悩み」を構成する別の要素は今年7月、国連で核兵器禁止条約(核禁条約)が賛成多数で採択されたことだ。米国の核の傘に依存する日本や欧州諸国などは賛成しなかった。

     賛成すれば「米国による核兵器の抑止力の正当性を損なう。北朝鮮に誤ったメッセージを送ることになりかねない」(河野太郎外相)。これが今の日本の立場である。

     だが、昨年の広島には当時のオバマ米大統領が歴史的訪問を果たし「核なき世界」への誓いを新たにした。被爆者を含め多くの人が外相発言に疑問を持ち、国内外で日本の立ち位置が厳しく問われている。

     核禁条約に関して日本が核保有国と非保有国の「橋渡し役」になるのは望ましいことだ。だが、2日間の軍縮会議で米政府代表のパネリストが全くいなかったのは気になる。従来は核軍縮担当の国務省高官らが訪日して議論を主導していた。

     英仏の政府代表もおらず、核禁条約に反対する核保有国のかたくなな態度を印象づけた。「橋渡し役」を務めるのは容易ではない。

     反対に、厳しい対日関係の反映のようにこのところ不参加を続けていた中国から2人の代表が出席したのは明るい材料だ。

     国連の担当部局と外務省などが中心となって開いてきた軍縮会議は本来、意義深い会合である。この会議に先立ち、やはり広島で開催された核軍縮に関する「賢人会議」(外務省主催)の提言にも期待したい。

     心配なのは、突っ込んだ議論が軍縮会議であまり見られなかったことだ。核禁条約と核拡散防止条約(NPT)をどのように調和させるか。2015年のNPT再検討会議は決裂に終わったが、次回会議(20年)をいかにして成功に導くか。

     論点は多い。核の脅威と核管理体制の動揺が世界を不安定にしている今、型通りの意見交換ではなく危機打開への真剣な議論が必要だ。今後とも建設的な議論を促して日本の立ち位置を明確にしたい。ここは唯一の被爆国の正念場である。

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