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社説

熊本の子連れ市議論争 議会を変えるきっかけに

 熊本市議会で先月、赤ちゃんを抱いた女性議員が出席を阻止され、全国的な論争に発展した。海外のメディアも、女性の社会進出が遅れた日本での出来事として注目した。

     議員への批判の中には、「わがままだ」「ベビーシッターを雇えば済む」といった声や、「夫は何をしているのか」と責めるものもあった。

     混乱を招かない方法はなかったのか。「パフォーマンス」との批判を呼んだ議員のやり方には疑問も残る。結果的に個人の問題に矮小(わいしょう)化する議論が目立ったのは残念だ。

     しかしながら、それで事の本質を見失ってはならない。最大の問題は、日本に女性政治家があまりにも少ないという現実だ。

     世界で165位という国政(議会下院)レベルはもちろん、地方議会においても、女性議員は全国平均で1割強しかいない。

     あえて想像してみよう。もし議員の半数が女性だったら騒動は起きていたか。子連れ出席を求めた緒方夕佳氏は熊本市議会で初めて在任中に出産した議員というが、そうした事例が当たり前だったらどうか。

     鶏と卵の議論のようだが、議員の出産がまれであるがゆえに制度が整わず、制度が整わないがゆえに女性議員が働きづらいのだ。

     「議員の妊娠は無責任」「税金で議員用に託児所を作るなど論外」といった意見もある。では問いたい。女性議員が少な過ぎることで、自治体、さらに日本全体はどれだけ損失を被ってきただろう。

     少子化、人口減少が深刻化し、ようやく子育て支援が重視されてきた。というのに、肝心の予算を決め、法律を作る場、つまり議会が男性一色では話にならない。過疎や高齢化に悩む地方自治体ならなおさらだ。

     育児も親などの介護も、実は女性議員だけの問題ではない。両立のために何ができるか。できない理由を探す前に、みんなで工夫したい。

     海外には、育児などで議会を欠席する際に代理議員を立てる制度がある。男性議員が有給育児休業を完全に取らないと批判される国もある。

     熊本市議会は近く、議長が緒方議員に厳重注意を行う模様だ。国内外でこれだけ関心を集めたのである。先進的な解決策で称賛される機会を失うのは、実にもったいない。

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