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幸せの学び

<その183> 産休と新聞活用=城島徹

表彰状を手にする植田恭子さん

 新聞を活用した授業のベテラン、大阪市立昭和中学校指導教諭の植田恭子さん(59)が定年を目前にした今秋、博報児童教育振興会の「第48回博報賞」の国語・日本語教育部門で表彰された。「確かな言葉の力を持ち、生涯にわたって学び続ける人」の育成を掲げた意欲的な取り組みが高く評価されたのだ。

     「菊日和 美しき日を ちりばめぬ」--。東京都内で開かれた贈呈式で受賞者を代表してあいさつに立った植田さんは最初に星野立子の俳句を詠み、「秋の佳き日」の喜びを国語教師ならではの表現でさわやかに伝えた。

     博報賞は優れた教育研究や実践活動に取り組む学校や教師などを顕彰する。植田さんは学校図書館を「学習・情報センター」として整備し、対話重視のカリキュラムを授業で実践してきたことに加え、情報通信技術(ICT)を絡めた先進的な取り組みも評価された。

     NIE(教育に新聞を)授業に力を入れるのは、長男、次男、長女の出産がきっかけだった。最近の新聞投稿にこうつづった。≪産育休は、子どもと向き合える貴重で至福の時間なのに、なぜか社会から取り残されていく不安にかられる。「目の中に入れても痛くない」という言葉どおり、目の前にはかわいいつぶらな瞳がある。けれど、どうしようもない焦燥感から自問する。「このままでいいのか」≫

     ≪スマホなんてなかった時代のこと、テレビニュースの時間に合わせて生活なんてとてもできない。でも世の中で起こっていることは知っておきたい。そんな私の前に、新聞は現われた。新聞は、自分のペースで読みたいときに読むことができる。切り抜いて残しておける。読み返すことも可能だ。メディアとしての特性を遅まきながら再認識したのだ≫

     研究者や教師らで作る日本NIE学会の副会長を務める。新聞を使った授業の創造は興味深く、楽しさもあるという。だが、本人は一切口にしないものの、NIEが今ほど普及していない頃には「新聞の人」と異端視されたこともあっただろう。

     NIE初心者へはこうアドバイスする。「まず一番は、日々の業務をしっかりこなしていくこと。教育活動はチームプレーだから、みんなで協力すること、俯瞰(ふかん)的、巨視的であること。その上で、はじめの一歩を踏み出してほしい」

     情報活用能力の育成が教育界の重要課題になる中での「ごほうび」に、「小さな道はつけられたので、たくさんの人が踏みしめて大きな道になればいいな」と晴れやかだ。【城島徹】

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