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社説

出国税による観光促進 なぜ必要なのか見えない

 何とも手っ取り早い税金の集め方ではないか。日本からの出国者に課す新税が、今週決定の与党税制改正大綱に盛り込まれる模様だ。政府は2019年の導入を目指している。

     日本人、外国人に関係なく、航空券代などに最大1000円が上乗せされる可能性がある。渡航費と一緒に徴収すれば目立たないし、1000円程度なら、旅行者も気に留めるまい。そんな読みがあるのだろう。

     最大の問題は、何に使うか、だ。

     出国税導入は、観光庁の有識者会議での議論を経て提案された。過去最多の更新が続く訪日外国人旅行者を、さらに増やしていくには、さまざまな促進策が必要になる。とはいえ、国も地方も財政難だ。そこで新税を、ということらしい。

     昨年の渡航者数をもとに、1人1000円で計算すると約400億円の収入になる。観光庁の当初予算の倍にあたる額だ。

     観光促進に使う、というのでは、あいまい過ぎる。

     有識者会議の報告書には、「あらかじめ使途を限定しすぎることは適切ではなく、ある程度幅広く対応できるようにすべきだ」とある。こういう施策にいくらかかるから新税しかない、という論理ではない。

     旅行者の増加に伴い、税収も伸びるだろう。使い切ろうと、必要性の乏しい支出に流れる懸念もある。

     報告書は、「地方創生」への貢献にも言及している。過疎化が進む地方は、活性化の切り札として観光に強い期待を寄せている。新たな財源が、「地方の観光促進」の名の下に、ばらまかれたりはしないか。

     観光産業はもちろん重要だ。海外にも出国税に類似した税や手数料の例がある。しかし、だからといって、使い道や金額が具体的に見えない新たな財源を、すんなり受け入れるわけにはいかない。

     財政は極めて厳しい。そんな中でも必要な経費だというなら、税収を使途の特定がない一般財源に入れたうえで、別途、予算要求すればよい。

     外国人旅行者の堅調な増加が示すように、観光は金融業並みの主力産業に成長した。世界経済フォーラムの「旅行・観光競争力ランキング」(17年)では136カ国中4位だ。

     今や、民間のアイデアや資金に託す方が賢明ではないか。

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