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社説

自衛隊の巡航ミサイル導入 専守防衛の境界がかすむ

 防衛省が航空自衛隊の戦闘機に搭載する長射程の巡航ミサイルを導入する。その関連経費約22億円を2018年度予算案に追加要求した。

     米国製の射程約900キロの2種類と、ノルウェー製の射程約500キロのミサイルで、米国製は調査費、ノルウェー製は取得費を要求した。

     巡航ミサイルはジェット推進でコンピューター制御により目標に誘導される。命中精度が高く、低空を飛ぶためレーダーに捕捉されにくい。

     しかし、巡航ミサイル導入を直ちに認めるわけにはいかない。防衛政策の基本である「専守防衛」との整合性が見えにくくなるためだ。

     防衛省は中国の海洋進出を念頭に離島防衛を強化すると説明する。だが、尖閣諸島は沖縄から約400キロで米国製の能力は飛び抜けている。

     射程は日本海から発射して北朝鮮に十分届く距離だ。ミサイル基地を先制的に攻撃できる敵基地攻撃能力の保有にもつながる。

     政府は、緊急時は敵基地攻撃能力を「憲法が認める自衛の範囲」と解釈しているが、専守防衛に照らして装備を保有してこなかった。

     北朝鮮は弾道ミサイルを高く打ち上げて急降下させるロフテッド軌道を多用している。ミサイル防衛では迎撃しにくいとされ、強固な抑止力を求める意見は自民党などにある。

     小野寺五典防衛相は「敵基地攻撃を目的としたものではない」と強調する。では、離島防衛を超える能力を持つ装備がなぜ必要なのか。

     専守防衛に深く関わる重大な問題である。議論の積み上げもなく政府の一存で突然、追加要求するという性質のものではない。

     敵基地攻撃能力を持とうとすれば、敵の防空網を突破する能力やミサイルを誘導する能力などが必要で、装備体系の変更にもつながる。

     安倍政権は安全保障法制など防衛力の拡大を図ってきた。厳しい財政下、防衛費を5年連続で増額し、来年度は過去最大になる見通しだ。

     米国は同盟国に軍事的な負担拡大を求めており、日本も例外ではない。専守防衛の枠が広がるなら日本の軍事的役割は増し、軍備増強は北朝鮮だけでなく中国も刺激する。

     巡航ミサイル導入にはリスクを踏まえた多角的な議論が必要だ。なにより国民の合意が前提となる。

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