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社説

英EU離脱条件で基本合意 ようやく出発点に立った

 英国と欧州連合(EU)が離脱の条件で基本合意した。あすからのEU首脳会議で正式に承認されれば、交渉は「将来の関係」を決める次の段階に進む。

     基本合意したのは、英国に住むEU市民の権利保障、英国が支払う清算金、英国とアイルランドの国境管理の厳格化回避の3点だ。

     しかし、2019年3月末の離脱期限が迫るなか、交渉の前進を急ぐために多くの課題が先送りされたのが実態ではないか。

     最大の懸案だった清算金は、英国が当初提案した額のほぼ倍増に応じて決着した模様だが、具体的な金額は明示されていない。

     また英国の北アイルランドと、陸続きのEU加盟国アイルランドとの国境管理を厳格にしないことに、メイ政権と閣外協力する北アイルランド地域政党が異議を唱えた。英国本島との一体性を揺るがすという理由だ。メイ首相の説得で当座は矛を収めたが、今後に不安を残した。

     北アイルランドでは過去に、英国への帰属を望む住民と、英国を離脱してアイルランドとの統合を求める住民が対立し、双方の過激派による武装闘争が続いた歴史がある。和平合意で流血が収まったのは1998年のことだ。

     その後、アイルランドとの統合派に配慮して、国境の検問所が取り払われ、自由な通行ができるようになった。英国のEU離脱によって対立が再燃するような事態は、避けねばならない。

     英国とEUはようやく本格交渉の出発点に立った。これからが真の正念場である。離脱後の通商協定をはじめ膨大な作業が必要になり、新たな難問が山積している。

     当面は2年程度の「移行期間」を設けることが模索されている。それでもその間の関税をどうするかなど暫定的な措置を決めておかなくてはならない。

     最終合意は英国とEU加盟各国議会の承認を得る必要があり、来年秋までに交渉が妥結しないと間に合わない。合意のないまま離脱すれば、新たに輸出関税が発生するなど、英国に進出している日本はじめ外国企業も大きな混乱に巻き込まれる。

     残された時間は少ない。英国とEU双方に一層の努力を望みたい。

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