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余録

先年、航空機のインシデントが報じられた折…

 先年、航空機のインシデントが報じられた折、読者から聞きなれないカタカナ語としてお問い合わせをいただいた。インシデントは出来事の意味だが、重大な事故や損失につながりかねぬトラブルをいう▲社会事象では「事変」と訳されることもあり、たとえば満州事変はマンチュリアン・インシデントである。それが大戦による破局の始まりだったのを思えば、インシデントを軽んじてはならぬという戒めは政治問題においてもいえる▲労働災害でいうハインリッヒの法則では1件の重大事故の背後に29件の小事故、さらに300件のインシデントが潜んでいるとされる。それらのインシデントを詳しく分析して重大事故の防止につなげるのが安全管理のイロハである▲ではこのインシデントはどうか。走行中に異音がした新幹線のぞみの車両を検査したら台車に亀裂があり、運輸安全委員会が新幹線初の「重大インシデント」に認定したという。つまり重大事故になりかねなかった事態だというのだ▲誰しもいぶかしく思うだろう。なぜ点検でそんな亀裂の兆候が見逃されたのか。そして異音と異臭がしたというのになぜ3時間も走行を続けたのか。ここはそれぞれの背景を明らかにし、重大事故につながる抜け道をふさいでほしい▲こちらもとんでもないインシデントといわなければならない。沖縄・普天間の米軍ヘリの窓落下も重大事故の予兆とみなすべきだろう。前から分かっていたのに、という後悔は許されぬ市民の日常の安全である。

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